1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

[社説]米軍「フォーラム」創設へ 実効性ある体制 構築を

沖縄タイムス+プラス / 2024年7月24日 4時0分

 県内で米兵による女性暴行事件が相次いだことを受けて、在日米軍司令部が日本政府と連携し、在日米軍の幹部や沖縄県、地域住民による「フォーラム」を創設すると明らかにした。「建設的な意見交換の場として機能する」としている。

 一連の事件の発覚を受け、県議会は全会一致で抗議決議案を可決した。被害者への謝罪や補償、精神的なケアとともに、綱紀粛正の徹底や夜間の外出規制といった再発防止策を示すよう求めた。

 エマニュエル駐日米大使と在沖米軍トップのロジャー・ターナー四軍調整官は、全軍の部隊に基地外での行動を制限するリバティー制度を導入する対策を打ち出した。しかし、具体的な内容は示されておらず、再発防止策につながるかどうかは疑問である。

 実際に、米兵による少女誘拐暴行事件の初公判があった夜、嘉手納基地へと続く沖縄市のゲート通りは多くの米兵でにぎわっていた。本紙の取材に応じた米兵は、外出制限について「特別な規制はない」と答えている。

 県内で今年上半期に刑法犯で摘発された米軍人や軍属、その家族は、昨年同期比で14人増の39人となり、年間の摘発者が過去10年で最多だった昨年を上回るペースで推移している。強盗や不同意性交等などの凶悪犯、傷害や暴行などの粗暴犯は昨年1年間を既に上回っている。

 現状を踏まえた再発防止への取り組みに、地元との話し合いは欠かせない。まずは地域に開かれた実効性のある枠組みの構築を求めたい。

■    ■

 米軍人や軍属、その家族による事件や事故については、日米による「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(CWT)」が設置されている。

 2000年7月、女子中学生に対するわいせつなど米兵の事件が相次いだことを受けて、米軍や日本政府、県警、県内の自治体などで同年10月に発足した。翌年以降から開催が減り、年1回程度になって17年を最後に開かれていない。

 米兵の事件を巡っては、米軍司令官が沖縄防衛局に通報する1997年の日米合意もある。しかし、今年になって発覚した一連の事件では連絡がなかった。95年の米兵暴行事件を受けての措置だったが、制度が形骸化していることが露呈した。

 必要とされているのは、沖縄に米軍基地がある限り、機能し続ける協議の枠組みと通報体制である。

■    ■

 玉城デニー知事は年内に訪米し、相次ぐ米兵の事件について「県内の女性や子どもの不安につながっていることを米側にしっかりと伝える」と表明した。

 訪米で実効性の伴う再発防止策を求める意義はあるだろう。一方、11月には大統領選を控えており、時期については慎重に見極めてほしい。

 米兵による事件・事故の被害者補償制度ができて久しい。しかし、いまだに泣き寝入りをせざるを得ない状況も多い。日本政府も当事者として、米国へ抜本的な取り組みを迫るべきだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください