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[社説]県警本部長の記者懇中止 「通報問題」なぜ避ける

沖縄タイムス+プラス / 2024年7月25日 4時0分

 県民への情報発信の場でもある県警の定例記者懇談会が、突然取りやめとなった。米兵による性犯罪への質問を避けたかったからとみられている。

 鎌谷陽之県警本部長ら幹部と報道機関の記者との定例記者懇は23日午後に予定されていた。しかし開始15分前になって中止が告げられた。

 1974年から月1回のペースで開かれてきたが、このような直前になっての一方的な「ドタキャン」は異例。

 県警はこの日は、女性警察官の採用と水難事故防止策について報告する予定だった。

 だが米兵事件への対応を巡る質問が出ると聞き、報道を前提とした(オンレコ)回答はできないと中止を決めたという。県警側は「設定していたテーマと違う質問をして、本部長のコメントを求める動きがあった」からと理由を説明する。

 行政機関による定例記者会見や記者懇談会は、行政側から発表や報告があった後、それに対する質疑、案件以外の質疑と進むのが一般的だ。

 今回の件でコメントすることを上から止められているのか。それとも別の理由があるのか。

 県警側の振る舞いは、発信したい情報だけ発信し、そうでない報道は抑え込もうとしているようにしか見えない。

 米兵による少女誘拐暴行事件が6月下旬に表面化して以降、鎌谷本部長は一度も記者会見を開いていない。

 県民が今一番関心を持ち、不安を抱いている事件について、記者が質問をするのは当然のことだ。

 記者懇取りやめは疑念を深めることになりかねない。 

■    ■

 事件発覚から今に至るまで続く「モヤモヤ」がある。 

 少女誘拐暴行事件の発生は昨年12月。県警はなぜ速やかに県に情報提供をしなかったのか。

 被害者のプライバシー保護はもちろん重要だ。だが米軍による犯罪は、基地問題で苦しむ県民にとって重要かつ必要な情報だ。犯罪抑止という観点から非公表にすべき事案ではない。

 県では2021年を最後に県警などからの情報提供がなくなったという。全国でも同様のことが起きている。この時期に一体何があったのか、誰かの指示で仕組みが変わったのではないか、との臆測が広がっている。 

 さらに日米で合意した「事件・事故発生時における通報手続き」も機能していなかったことが分かっている。

 来週開かれる衆参両院の閉会中審査で、この問題も追及すべきだ。 

■    ■

 今月10日、県議会が全会一致で可決した意見書の中に「このような重大事件について、捜査当局などから情報提供がなかったこと」への批判が盛り込まれている。

 昨日、渉外知事会は外務省などに対し、米軍関連事件で関係自治体への通報徹底などを求める「特別要請」を行った。

 今回の問題の経緯を含め、鎌谷本部長は県民の「なぜ」に丁寧に答える必要がある。そのための記者会見を開くよう求めたい。

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