沖縄の先島諸島に今季初の台風接近 高かった海面水温は下がった? 危険な暑さがまた…
沖縄タイムス+プラス / 2024年7月26日 16時30分
先島諸島には、今シーズン初めて台風が接近しました。7月20日(土)午後3時にフィリピンの東で熱帯低気圧から変わった台風3号は、発達しながら北西方向に進み、22日(月)の午前9時には強い勢力となりました。
台風はその後も発達しながら北上し、24日(水)の午前3時には西表島の南およそ170キロまで接近し、中心気圧950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速45メートルの大型で非常に強い勢力となり、勢力を維持したまま北西方向へ進み、24日(水)の午後3時には与那国島の西南西およそ60キロまで接近しました。
台風3号は大型で非常に強い勢力で与那国島地方に最も接近し、与那国島では、24日(水)の午前11時ごろから午後6時ごろまでのおよそ7時間、風速25メートル以上の暴風域に入っていたとみられます。
与那国島では、24日(水)の午後1時51分に50.2メートル(東南東の風)、所野では午後2時4分に45.8メートル(東の風)の最大瞬間風速を観測しました。所野では、2009年からの統計で7月の1位の値を更新しています。
西表島付近で線状降水帯が発生
また、25日(木)の午前1時ごろ、八重山地方(西表島付近)で線状降水帯が発生しました。当時、西表島では1時間に74.0ミリの降水量を観測しています。線状降水帯の発生場所は、台風の進行方向と台風の中心に向かって吹き込む雨や風が重なる、台風の中心から東側のエリアでした。
台風の接近に伴い、降り始めからの降水量(23日午前0時~26日午前10時)は、竹富町上原で350.0ミリ(欠測値含む)、石垣市川平で290.0ミリ、与那国町祖納で265.5ミリなどとなっています。
台湾付近で複雑な動きをしたのは
台風3号は、台湾東岸で反時計回りのループを描く複雑な動きをした後、25日(木)午前9 時には台湾海峡に進みました。複雑な動きをした原因として、台風のエネルギー源は暖かい海なのですが、台湾には台風が苦手とする3000メートル級の山がたくさんあります。その台湾の高い山を避けるかのようにループしたものと考えられます。
前回のコラムで、6月以降沖縄地方へ台風接近がなく、沖縄周辺の海面水温が下がりにくくなっている要因の一つとして考えられるとお伝えしました。
今回の台風3号の接近に伴い、海面水温がどのくらい変化しているのか見ていきましょう。7月これまでに最も猛暑日の地点が多かった7月20日の沖縄周辺の海面水温は平年よりも2℃程度高く、31℃前後の海域が広がっていました。
台風通過後の7月25日(木)の沖縄周辺の海面水温は、台風が最も接近した先島諸島では、1℃程度低くなった所があります。ただ、沖縄本島の周辺では31℃前後の海域が残っています。今年は海面の表面だけではなく、海の深い所まで暖かいエリアが広がっているため、今回の台風通過による海面水温の温度変化は小さかったのかもしれません。
今年は最低気温も高いのが特徴
沖縄地方の今年これまでの猛暑日の地点と回数を見ていきますと、26日(金)現在、猛暑日観測地点は、猛暑日が出た順番で、西表島、那覇、伊是名、北原(久米島空港)、波照間、仲筋(多良間空港)、安次嶺(那覇空港)、北大東(北大東空港)、鏡原(宮古空港)、大原、石垣島、下地島(下地島空港)、盛山(新石垣空港)、名護で、県内14地点、計51回の猛暑日となっています。
台風3号が沖縄地方に接近した23日(火)以降は、猛暑日は出ていません。
また、今年は最低気温も高いのが特徴です。石垣島は、7月18日(木)に30.4℃(午前6時37分)を観測し、最低気温の高い方から、全国で7位となりました。石垣島では19日(金)にも30.3℃(午前6時12分)を観測しています。
最新の熱中症による救急搬送人員(消防庁調べ)は、7月1~7日の週は181人でピークとなっており、7月15~21日の週も147人と多い状況は続いています。台風が通過した後、この先も厳しい暑さが続く予想となっていて引き続き警戒が必要です。
28日(日)ごろから かなりの高温予想
7月25日(木)に「高温に関する早期天候情報(沖縄地方)」が沖縄気象台から発表されました。沖縄地方は7月28日(日)ごろから、再びかなりの高温になる予想として注意を呼びかけています。(かなりの高温の基準:5日間平均気温平年差+0.9℃以上)
8月11日(日)にかけての那覇の天気と気温の予想を見てみますと、この先、太平洋高気圧に覆われるため、晴れたり曇ったりの天気が続く傾向です。7月31日(水)の予想最高気温は35℃で、再び猛暑日となる可能性があります。危険な暑さが戻ってきますので、体調管理に注意が必要です。
週末も強風に注意
7月27日(土)の沖縄地方は、湿った空気の影響で不安定な空模様でしょう。先島諸島では断続的に雨が降りそうです。沖縄本島地方や大東島地方では、午前を中心に変わりやすい天気となりそうです。また、風の強い状態はしばらく続く見込みです。強風・高波にもご注意ください。
崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。
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