挑戦する“異端児”ポニーテールリボンズ 「どの曲も必ず一つはメッセージ」今夏に新シングル
沖縄タイムス+プラス / 2024年7月30日 15時0分
ピンクの帽子にサラサラ長髪、大きなサングラスにデニムの短パン。インパクトあるその姿が忘れられない音楽ユニット「ポニーテールリボンズ」のポカ=ユイチンは2018年から拠点を東京に移して活動している。ファニーな歌詞や見た目が注目されがちだが、これまでのキャリアに裏付けされた幅広い音楽性やメッセージ性もまた、ポニーテールリボンズの魅力だ。この夏にはダンサブルな新シングル「トゥーティキン」を配信リリースする。実は中国に留学経験もあるポカ=ユイチン。その語学力を生かして10月には台湾ライブも控えている。(ライター・長濱良起)
ポニーテールリボンズ
2004年結成。2016年にリトル=コフスキーが脱退後は、ポカ=ユイチンのソロユニットとして活動している。テクノやハウスなどのダンスミュージックから、バンドサウンドや歌謡曲まで幅広い音楽ジャンルで楽曲を書き下ろしている。代表曲に「アンチエイジング」「モアイ大好き金城さん」「おじさんおばさん」など。
貯金を全て突っ込みコロナ禍を打破
-東京に拠点を移したきっかけを教えてください。
「もっと新しいことをしたいな」という思いがありました。沖縄にいた頃から、東京、大阪、名古屋でも活動していたんですが、東京に住んでみたらまた状況が変わるのかな、と。沖縄でやれることは全てやったというか、行き詰まったと言った方が良いのかもしれませんけどね。「長く続ける」というのが目標なので、刺激が欲しくて環境を変えました。初めはやっぱり難しかったですね。SNSで注目を引いて、沖縄関係のイベントに出してもらって、という感じでした。そうやって態勢を整えている時にコロナ禍になってしまいました。
-コロナ禍はミュージシャンにとっては打撃が大きかったと思います。
外にも出られないしライブもできないし、活動そのものをどうしていこうと考えまして。貯金を全部突っ込んだりローンも組んだりして、レコーディングや配信のための機材を本格的に買いそろえました。
-多くの人は、貯金を全部つぎ込む勇気をなかなか持ち合わせていないと思います。
これで駄目だったら踏ん切りがつくじゃないですか。「辞めたくない」っていうのが根底にあるので、やるんだったら思いっきりやって、こてんぱんにやられて破産してしまえば、その時はもうしょうがないですから。
-コロナ禍での配信活動はどのように進んでいきましたか?
コロナ禍の時は、みんなも家で退屈してやることがないので、見てくれるんですよね。配信アプリ内でいろんな人と出会って、仲良くなって。お互いの不安を埋められたんでしょうね。僕はライブを大切にしてやってきましたが、配信だとなかなか表現しきれない部分もありました。リアクションも直接分からないので「スベってるのかな? どうなんだろう?」とか思って(笑)。時には衣装じゃない自分も出して、人間性を前面に出してみたり、手品をやってみたりとか。勝手に「架空の企業ラジオCM」とかも作っていました。
-「架空の企業ラジオCM」って、何ですか?
「ウキウキハウジング」「ウキウキ着付け教室」「ウキウキ法律相談事務所」「ウキウキデンタルクリニック」とか。だいたい30秒以内です。20曲以上ありますね。
全国の沖縄料理屋で活躍中
-コロナ禍が明けた今、どのように活動を再開していますか?
東京にはステージ付きの沖縄料理屋さんが結構あって、そういったお店に出してもらうことが増えてきました。「沖縄料理を食べながらポニーテールリボンズを見る」ということがこちらの方程式になかったんですけど、お客さんからすれば自然なことだったらしくて。「ライブハウスじゃなくて沖縄料理屋さんだったら行く」という層がいることに気付けました。今は関東だけではなくて全国の沖縄料理屋さんや沖縄関係のイベントに呼んでもらっています。
日本語教師資格を取得 10月に台湾ライブ
-音楽を始めたきっかけを教えてください。
小学生の時にベートーベンが好きで、ピアノを習っていました。でも、小学校高学年になると、同級生に「ピアノ弾くのって女みたいだな」ってからかわれて。でも「え? ピアノの先生もベートーベンもバッハも男だけどな」と思って。でもやっぱり恥ずかしくなってピアノはやめたんですよね。それから中学になると「ギターっていう男がやっても良い楽器があるぞ」となって、親戚のおじさんの家に飾られていた、ほぼ壊れたギターを譲ってもらいました。
-ニューシングル「トゥーティキン」について教えてください。
ライブでは8年前ぐらいからやっていた曲です。当初のものからは結構アレンジしてドラマチックになりました。曲名には二つ意味があって「チキンが好きすぎるから」という“Too chicken”と、「臆病者(チキン)に向けて」という“To chicken”です。「もう一度羽を広げて飛んでみようよ」というメッセージを込めています。生まれた時にはみんな自分の力で内側から殻を破って外の世界に出てきているのに、気付いたらまた居心地のいい場所に戻っていたり。振り返ったらみんな「自分ってこんなにおとなしくなかったはずだよな。希望に満ちていたよな」っていう思いがあるはずなんですよ。
どの曲にも必ず一つはメッセージを込めるようにしています。それを面白おかしく聴いてくれる人がいても良いですし、深掘りして深く読み解こうとする人がいても良いですし。なんか、おこがましいですけど「音楽的ピカソ」みたいな要素を持っていたいです。ピカソの絵は見る人によって「下手くそだね」「すごいね」と評価が分かれますよね。そういうことができたらいいと思っています。
-10月の台湾ライブについて教えてください。
海外の人に日本のことや日本語を知ってほしいなという思いがあって、実は去年1年間、学校に通って日本語教師の資格を取ったんですよ。まずは台湾にごあいさつに伺いたいなと思っています。「自分がやりたいこと」と「台湾のお客さんが求めていること」が合致して、絶対に受ける自信があります。
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