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[社説]秘書給与 詐取疑い 自民離党でお茶濁すな

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月2日 4時0分

 「政治とカネ」の問題が終わらない。

 東京地検特捜部は、自民党に所属していた広瀬めぐみ参院議員の議員会館事務所や、都内にある自宅を家宅捜索した。勤務実態があるように装って、公設第2秘書の給与をだまし取った詐欺容疑である。

 約2週間前に、秘書らによる香典提供事件で同じく自民党に所属していた堀井学衆院議員が地検の強制捜査を受けたばかり。

 異常事態である。自民を巡る「政治とカネ」の不祥事は、底なしの様相だ。

 広瀬氏は2022年に初当選。同年12月から23年8月まで公設第2秘書として届けていた女性に国から給与として支給された数百万円の大半を詐取した疑いが持たれている。 

 事務所関係者は地検の事情聴取に対し、第2秘書には勤務実態がなかったと供述している。

 公設秘書は特別職の国家公務員だ。その職を利用した給与の詐取は、税金の流用であり、国民の信頼に背く悪質な犯罪だ。

 疑惑は今年3月に週刊誌が報じて発覚した。広瀬氏はホームページで「記事の内容は事実無根」などと反論していた。

 家宅捜索を受けた後、「後でしっかり説明する」と約束したが、その後、取材には応じていない。説明責任を果たさず、逃げ切ろうとするのが自民党のやり方なのか。

 秘書給与を詐取していたのであれば、議員辞職に価する。

■    ■

 1990年代末から2000年代前半にかけて、与野党を問わず国会議員による秘書給与の詐取事件が頻発し議員が何人も逮捕された。詐取総額が2千万円を超すケースも複数あった。

 04年に法律は改正され、秘書給与は全額、本人へ直接支給されることになった。悪用された「公設秘書の寄付」は、勧誘や要求をする行為も禁じられた。

 広瀬氏が、秘書の給与を詐取していたとすれば、法改正の趣旨を踏みにじる行為である。

 今年に入ってから裏金事件を巡り、政治資金規正法違反で逮捕された池田佳隆衆院議員をはじめ3人の現職国会議員が、自民党を除名されたり、離党したりしている。

 にもかかわらず、不祥事が続いている。もはや、党としての統治能力や自浄能力を失っているのではないか。

 堀井、広瀬の両氏も自民を離党した。しかし、自民党には両氏を擁立した責任がある。離党届は受理せず、本人から事実関係を聴取し処分を下すことが、責任ある対応だ。

■    ■

 裏金事件の真相解明は進まず、関係者は重い処分にも問われない。政治資金規正法は、政策活動費は温存し、領収書の公開は10年後、とするなど「ザル法」のままだ。

 「政治とカネ」に関して、緊張感が生まれないのは、ある意味では当然である。

 自民党の政治資金への甘い対応が、今日の異常な状況を招いている。 

 自民党総裁でもある岸田文雄首相の責任は重い。

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