[社説]株価「歴史的」乱高下 金融政策の検証必要だ
沖縄タイムス+プラス / 2024年8月7日 4時0分
株価が歴史的な乱高下の様相を呈している。5日の日経平均株価の大幅な下落から一転、6日の株価は過去最大の上げ幅を記録した。しばらくは不安定な値動きが続くとみられる。株価の予期せぬ急落が、実体経済に与える影響は無視できない。一時的な相場変動に動揺せず、実体経済を冷静に見極めることが肝心だ。
5日は県内銘柄も軒並み大幅安となった。前週末に米国株式市場が大幅安となった流れを引き継ぐ形で東京市場は終日全面安の展開だった。
米国市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが遅く、景気が減速するとの悲観的な見方が広がった。雇用の悪化を示す統計などもマイナス要因となった。
これに追い打ちを掛けたのが円高である。
日銀は7月末に追加利上げを決定し、FRBは金利の据え置きを決めたが、9月にも利下げに転じることを示唆。日米の金利差が縮小することを見越した円買いが優勢となった。
対ドル円相場は7月に1ドル=161円台と歴史的な円安水準になったが、今月には一時1ドル=141円台まで円高が進んだ。リスクを避ける投資家の売りが売りを呼ぶ展開だった。
今年1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)を始めたばかりの人が、銘柄の良しあしにかかわらず、売りに走ったという指摘もある。投資経験が少なく、近年の上げ相場に慣れた若年層が現金化を急いだとの見方だ。
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新NISAは、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の一環だ。個人投資家を増やし、株価浮揚や経済成長につなげる狙いがある。
ただ、非課税で保有できる限度額が1800万円に拡大され、相場次第で家計への打撃にもなりかねない。投資のリスクの分散化など適切な情報提供が欠かせない。
6日の日経平均株価は急反発し、上げ幅は過去最大となった。製造業の輸出採算を悪化させる円高が一服し、投資家に一定の安心感が広がった。
5日発表の米国の経済統計が底堅い結果を示し、米景気への不安もひとまず和らいだとされる。厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査で、前年同月比の実質賃金が27カ月ぶりにプラスに転じたことも追い風になった。
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ただ日本は利上げ方向、米国は利下げ方向にあり、為替相場は円高ドル安に向かうことが想定される。
人工知能(AI)の普及を見込み、日米で株価をけん引してきた半導体関連株にブレーキがかかるなど、市場を覆う疑心暗鬼が完全に晴れたとは言い難い。
株価の下落要因には、日銀による利上げの時期が影響したとの指摘もある。
先月末の追加利上げは市場の意表を突いた。もう少し事前に予告されていれば、市場の折り込みが進んだ可能性もある。果たして妥当だったのか、検証が必要である。
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