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[社説]南城ハラスメント防止条例 前進だが幕引きならず

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月11日 4時0分

 市長のセクハラ疑惑をきっかけに、南城市議会が「ハラスメント防止条例」を賛成多数で可決した。

 市長など特別職からの被害について申告があった場合、第三者委員会を立ち上げ検証する。現行の規定で特別職が対象外となっていることを考えれば一歩前進と言えるだろう。

 防止条例の制定は県内初。ハラスメントを「重大な人権侵害」と位置付け、「市長等、議員、職員及びその他本市に勤務する全ての者」に対し他者へのハラスメントを禁止した。

 被害の相談については専門家による「外部相談窓口」を常設する。

 今後きちんと機能すれば前進と言えるものの、課題も多い。

 今年6月に公表された市職員らへのハラスメント実態調査では約6割が現行のハラスメント防止規定を「知らない」と回答した。

 新たに設置する相談窓口については、十分な周知が欠かせない。

 昨年12月に古謝景春市長からのセクハラを訴えた元運転手女性は、業務委託職員だったことで市が対応を取らなかった経緯がある。

 しかし今回の条例でも委託職員などは対象に盛り込まれなかった。

 市議会は、市の規定を見直し委託職員も相談窓口を利用できるようにしたり、10月1日の条例施行日以前の被害も相談可能にするなど、条例を補完する4項目を市に別途申し入れた。

 もっと時間をかけた議論が必要だったのではないか。

 条例制定の意義はあるものの、拙速だったことは否めない。

■    ■

 そもそもの発端となった古謝市長のセクハラ疑惑の調査も進んでいない。

 疑惑を巡っては、市職員らの実態調査でも市長からの被害を具体的に告発した記述が9件あった。

 「胸を触られた」「キスされた」などの詳細な内容に対し、市長は「女性とは飲み会をしていない」などと答えるだけで、十分な説明はなされていない。

 市は実態調査に関する第三者委を立ち上げるとするが、それもまだ設置の見通しは立っていない状況だ。

 組織トップによるハラスメントはその下で働く職員に深刻な影響を及ぼす。条例の趣旨が生かされるような取り組みを求めたい。

 一連の疑惑追及を幕引きとするようなことがあってはならない。

■    ■

 市役所内では、以前からハラスメントを見聞きしていたが「報復が恐ろしくて辞める覚悟がないと言えないと感じていた」とする職員の声もある。

 組織全体に被害を軽視する風潮があるのではないか。

 県内では他の自治体でもハラスメント防止条例の制定が進む。

 ただ、条例が効果を発揮し問題を解決に導くには、より相談者の立場に立った対応が求められる。

 ハラスメントを相談しても不利益にならないというメッセージを職場全体で発信することが重要だ。

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