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「紅型のマリリン」で沖縄アパレル界に新風 琉装-Ryusou- きっかけはインスタ動画

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月13日 10時0分

「琉装-Ryusou-」シリーズのシャツを手にするLIBERMENT OKINAWA代表の名嘉山兼陽さん=7月、那覇市内

 琉装の外国人風女性がマリリンモンローさながらのポーズ。紅型のカラフルさが目を惹くデザインのTシャツやスウェットが県内外で人気だ。製作・販売するのは那覇市のセレクトショップ「LIBERMENT OKINAWA(リベルマンオキナワ)」。2023年9月に発売した「琉装-Ryusou-」Tシャツを紹介したインスタグラムのショート動画が注目を集め、同店の主力商品となった。沖縄の伝統的な色使いを現代のアパレルに落とし込んでおり、代表の名嘉山兼陽さんは「こんなカラフルなデザインは珍しいので、そこが受け入れられたのかなと思います」と柔らかな表情で語る。(ライター・長濱良起)

発売前から問い合わせ殺到

 アメコミタッチの外国人風女性と琉装という、これまでにない組み合わせが心地良い違和感を生み、インスタグラムで一気に話題となった。これまで、同店アカウントのショート動画投稿では再生数が1000~2000回だったというが「『琉装-Ryusou-』の動画を上げたら、一発目で14万回ぐらい見られて。それからメッセージがたくさん来るようになりました」(名嘉山さん)。発売前にも関わらず、問い合わせが殺到した。

 

 「ラッキーでした。やっていることは今までと同じだったので」と話すように、いつもの感覚で生み出した新商品の一つだったという。

 名嘉山さんによると、個人アパレルブランドだと1つのTシャツデザインにつき30~50枚の販売が平均的だ。その中で「琉装-Ryusou-」Tシャツは発売後もコンスタントに注文を受け続け、1000枚以上が売れている。県外在住の沖縄県出身者からの注文も多いという。

 「売れる商品がようやく作れるようになったので、いつも商品を置かせてもらっているショップのみなさんにも、少しずつ恩返しできるようになりました」と、感謝の気持ちを忘れない。

「好き」から生まれた作品群

 2014年にスタートしたLIBERMENT OKINAWAは「沖縄愛が集まるセレクトショップ」を掲げており、沖縄をモチーフとした遊び心溢(あふ)れるアイテムを生み出している。そんな遊び心を象徴するかのように、オフィス兼作業場には、ビンテージ風のおもちゃやアーケードのゲーム機など、名嘉山さんの好きなものに囲まれた世界が広がる。

 「琉装-Ryusou-」シリーズもまた、名嘉山さんの「好き」から生み出された作品だった。名嘉山さんが好きなアーティスト・空山基氏による、米ロックバンド・エアロスミスのアルバムジャケットデザインを、これまた名嘉山さんが好きなブランド・セントマイケルがオマージュしたTシャツがあり、それをさらに名嘉山さんが沖縄風にオマージュ。世代や国境を越えて、たくさんのクリエイティビティが積み重なって完成した。

色数の多さが功を奏して

 「琉装-Ryusou-」のヒットは、名嘉山さん自身の職人としての腕を上げる一つのきっかけともなった。その理由はデザインの色数の多さだ。

 LIBERMENT OKINAWAの他にも、別事業としてオリジナルTシャツの受注・製作を行っている名嘉山さん。もともと1つのデザインで扱える色数は6色までだったが、「琉装-Ryusou-」では8色もあったため、当初は別工場に依頼して生産していたというが、それだけではとても注文に間に合わなくなった。外注コストもかさんでいく中、自分で作ろうと決めた。「半透明のインクを採用して、色の重なりを利用することで8色を表現できました。どうにか試行錯誤しました」。今後の作品への可能性も広がった。

発祥は大学時代の「遊びの延長」

 LIBERMENT OKINAWAの発祥は、名嘉山さんの大学時代に遡(さかのぼ)る。琉球大学で経営学を専攻していた仲間3人で、遊びの延長線上で始めた。「経営学をしていたので、みんな『何かやりたい』みたいな欲はあったんですよ」。当初はシルクスクリーンのTシャツ制作キットを使って自宅で生産、自ら大学に着ていって、気に入ってくれた友人らに売っていた。これだけで生活が成り立つほどの収益は出ていなかったが、とにかく「作ること」自体が好きな名嘉山さんだけ、辞めることなく続けられてきた。

 クリエイターでもあり経営者でもある今、きちんとした収益を上げて自走していくことの重要性も、身に染みて分かっている。「今後は沖縄のアーティストとコラボした作品をどんどん出していきたいです。アーティストの方は作品を生み出すことに特化しているので、ビジネス面でサポートできたらいいなと思っています」と、自らの強みを沖縄アート界に還元していく考えだ。

LIBERMENT OKINAWA ネットショップ
https://libermentt.thebase.in/
LIBERMENT OKINAWA公式インスタグラム
https://www.instagram.com/liberment_okinawa/

「LIBERMENT OKINAWA」取り扱い店舗
Toys-A(那覇市牧志3-6-47)
WORTH WEAR WORKS(那覇市松尾2-2-13)

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