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[社説]知事9月訪米へ 切実さ訴え問題解決を

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月14日 4時0分

 玉城デニー知事が9月に訪米し、沖縄で相次いだ米兵による性的暴行事件に抗議し、再発防止を強く申し入れる意向を表明した。

 米政府や連邦議会の関係者には、知事と会い、沖縄の切実な声を真剣に受け止めるよう求めたい。

 昨年12月に、16歳未満の少女に対する誘拐暴行事件が発生。今年5月にも成人女性が被害に遭っている。この2件を含め、昨年以降で計5件の米兵による暴行事件が発覚している。

 玉城知事は在日米軍、駐日米大使館、基地を提供する日本政府などに綱紀粛正を訴えているが、実効性を伴う抜本的な対策は見えてこない。

 大統領選挙を控えた時期でもある。知事には民主党、共和党を問わず、幅広く沖縄の現状を伝え、世論を喚起する戦略を練ってほしい。

 事件の情報が県や県民に伝えられなかった問題については、情報共有に関する日米合意の順守を米側に求める。

 玉城知事の訪米は4度目で、沖縄の日本復帰から52年間で歴代知事の訪米は23度目となる。

 仲井真弘多知事までは国防長官、国務副長官や局長級との面談を重ねたが、翁長雄志知事以降は部長級や課長級の対応にとどまる。

 過去には県道104号越え実弾演習の県外移転や在沖海兵隊のグアム移転につながるなど訪米の成果があった。

 最近では米側の「冷遇」ばかりが気にかかる。

■    ■

 課題は他にも山積する。

 沖縄の米軍基地周辺の河川や井戸から有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が高濃度で検出されている。分解されにくく、長年かけて土壌や地下水に浸透する特徴を持つ。

 汚染を食い止めるには汚染源の特定が不可欠だが、米軍は県の基地内への立ち入り調査を拒否している。

 米政府の後押しで何とか実現できないか。訪米ではそうした意義もある。

 県はこれまでの訪米でも環境や人権に関心の高い連邦議員に働きかけたり、沖縄の自治に理解を示す市民団体に支援を求めたりするなど、効果的な手段を模索してきた。

 米軍基地由来の問題解決は難しく、県民には諦めも漂う。しかし安全安心な地域社会を創り、生活の質を向上させるためにも、解決しなければならない。

 沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割以上が集中する状況は不公平である。

■    ■

 岸田文雄首相は「沖縄の基地負担軽減に取り組む」と繰り返してきた。

 沖縄の声を無視することはできないはずだ。

 基地由来の事件や事故を減らし、環境問題を解決するために基地を減らす。それこそが「沖縄の基地負担軽減」そのものである。

 沖縄の基地問題は本来、日本政府が解決すべき課題である。力が足りないようなら、もっと玉城知事の訪米に協力してみてはどうだろうか。

 日本政府も県民の声を米政府に届ける役割を果たさなければならない。

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