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[社説]安和土砂搬出を再開 見切り発車が不信招く

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月23日 4時0分

 自らの事業者責任を棚に上げ、県に責任を転嫁するような、世論誘導とも受け取れる対応が目につく。

 沖縄防衛局は、死傷事故を受け中断していた名護市の安和桟橋からの土砂搬出作業を再開した。

 安和桟橋の入り口では、車両の乗り入れ部を歩いて抗議する市民を機動隊が強制的に排除。次々と桟橋内にダンプが入った。

 搬入されたこれらの土砂は、船で辺野古に運ばれ、新基地建設のための埋め立て用土砂として使われる。

 事故後の7月9日、県は防衛局に対し、「事故原因の究明」「再開に当たっての安全対策の実施と県への説明」「安全対策が講じられるまでの運搬作業の中止」を文書で申し入れた。

 肝心の事故原因はまだ明らかになっていない。

 防衛局が県に運搬作業を8月22日に再開すると伝えたのは、前日の21日のことである。

 防衛局は8月15日、三沢大輔調達部長が直接県を訪ね、文書で「安全対策の実施」を申し入れた。マスメディアの取材を想定したかのような、異例の対応だ。

 文書は、事故の背景に「連日、繰り返し行われている妨害行為」があるとして「県の対応が不十分」だと断定、ガードレールの設置などを求めている。

 悪いのは県だと言わんばかりの文書を県に突き付け、対応を迫ったのである。

 防衛局の三沢部長は運搬作業が再開された22日にも県庁を訪ねている。

■    ■

 三沢部長は、新たな安全対策として「警備員を出入り口に追加配置」「ネットフェンスで車両前方への進入を防ぐ」などの措置を講じたと説明した。

 その上でガードレールの設置を重ねて要請した。

 事故はダンプカーが安和桟橋の出口から国道449号(県管理)に出ようとした時に起きた。

 桟橋敷地から国道に入るには、車両乗り入れ部と呼ばれる敷地と国道をつなぐ接続部分を通る必要がある。乗り入れ部は歩行者を優先する「歩道」というのが県の認識だ。

 県が歩道をふさぐようなガードレールの設置に難色を示してきたのはそのためである。

 市民団体によると、これまでは運転手、警備員、抗議者の間に事故回避のための「暗黙のルール」があったが、誘導方法が変わった後に事故が起きたという。

■    ■

 同じ側から2台連続しては出さないというこれまでのやり方もその一つ。

 誘導方法が「2台出し」になるなど「土砂搬入のスピードアップを図って無理な誘導が増えていた」という。

 現場の安全確保は一義的には事業者の責任である。 防衛局は再発防止を優先し、県と協議を重ね、一致点を見いだす努力をすべきなのに、あたふたと見切り発車したのはなぜなのか。

 三沢部長の異例の行動には、知事の管理責任を世論にアピールし、同時に県にガードレールを設置させることで市民団体との分断を図る狙いがうかがえる。

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