【宜野湾市長選】 政策や政治姿勢、立候補表明の2氏に聞く
沖縄タイムス+プラス / 2024年8月30日 7時25分
[宜野湾市長選2024.9・8]
【宜野湾】宜野湾市の松川正則市長の死去に伴う市長選が9月1日に告示、8日に投開票される。元市長で無所属の佐喜真淳氏(60)=自民、公明推薦=と、市議で無所属の桃原功氏(65)=立民、共産、社民、社大、新しい風・にぬふぁぶし推薦、会社代表で無所属新人の比嘉隆氏(47)の3人がこれまでに立候補を表明している。佐喜真氏と桃原氏による事実上の一騎打ちとなる見通し。両氏に政策や政治姿勢を聞いた。
普天間返還を勝ち取る 佐喜真淳氏(60)元市長
-現市政とどう向き合うか。
「志半ばで亡くなった松川市長の公約を引き継ぐ。特に普天間飛行場の跡地利用については、返還を勝ち取っていくのが松川市長の思いなので、それを市民に訴えていく」
-米軍普天間飛行場問題をどう解決するか。
「日米両政府による返還合意から28年、戦後79年、沖縄が日本に復帰して52年が経過した。この間、過重な基地負担を宜野湾市民は強いられてきた。名護市辺野古の代替施設建設問題では県民が分断された。ウチナーンチュ同士の対立は終わりにさせる」
「普天間返還は各種団体の意見を網羅した『オール宜野湾』で臨み、国に対してあらゆる方策を講じて実現させる。返還までの間、普天間所属機を辺野古に段階的に移駐し、訓練を県外に移転させる」
-辺野古新基地建設について。
「原点は普天間の危険性除去であり、固定化は絶対にあってはならない。一刻も早い返還を実現させることだ」
「辺野古問題は国と県の争いだが、県は普天間をどうするのか手法を説明していない。市長に当選した際には、真っ先に玉城デニー知事と会い、普天間をどうするのか問いたい。知事は次のステージに進む普天間問題について県民、市民に説明する義務がある」
-普天間飛行場の跡地利用と市が抱える課題は。
「広大な跡地を市が一度に開発することは予算や人員不足で困難だ。開発に向けた支障除去や地権者との合意形成など、返還後の課題は山積しており、政府に支援を要請していく」
「普天間飛行場や那覇港湾施設(那覇軍港)、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の返還を見据え、県経済界や宜野湾市などで動き出しているGW(ゲートウェイ)2050PROJECTS構想を進め、県土再編に取り組む」
-何を争点にしたいか。
「2年前に約2万9千票を集めた松川市政を継承するか、しないかの選挙だ。有権者に一番の課題である普天間を誰が返還できるか問いたい。それを実現するのは佐喜真淳だけだ」(聞き手=宜野湾市長選取材班・砂川孫優)
訪米し危険除去を直訴 桃原功氏(65)市議
-現市政への評価は。
「普天間飛行場関連の問題ではアプローチが異なるものの、多くの部分で松川市長を評価していた。市職員の信頼も厚く、堅実な仕事ぶりは尊敬できる。評価すべき点は引き継ぎ、相違点は改善をし、市政の発展につなげたい」
-米軍普天間飛行場の危険性除去について。
「基地司令官と直接協議したり、県知事と訪米して直訴したり、あらゆる市長権限を行使して閉鎖・返還を実現させていく。陸上自衛隊の訓練場新設計画を断念に追い込んだうるま市のように、市民一丸となって世論を喚起したい」
-名護市辺野古への移設反対は、国からの予算措置などに影響する恐れがあるのでは。
「米軍基地が街のど真ん中にあるのは世界中でも宜野湾市だけだ。市民は日常生活のあらゆる場面で被害を受けている。普天間飛行場が居座る限り、市民は政府に対し、必要な予算をしっかり要求できると思っている」
「跡地利用も同様だ。強制接収された集落を取り戻し、基地従業員の新たな雇用の場を確保する。基地の提供は、日米安全保障条約に基づく。市民や地権者に対し、返還後の土地活用が可能になるまで責任を負う義務が国にはある」
-市の課題にどう取り組むか。
「普天間飛行場の負担軽減は待ったなしの課題だ。爆音被害、墜落や落下物の危険性、PFAS(ピーファス)汚染から市民の安全と命を守るため、日米両政府に解決を迫っていく。基地の運用停止・返還まで、市民が被る負の影響を軽減する。基地周辺の交通渋滞を緩和し、小中学校や保育園のエアコン代は完全無償化とするよう国に強く求める」
-何を争点にしたいか。
「行政目線ではなく市民目線の市役所に転換できるか。国の顔色をうかがって忖度(そんたく)することはせず、さまざまな市の問題の解決に向けて毅然(きぜん)と主張し実践する。社会的弱者やマイノリティーに対する向き合い方や政策方針にも差があり、対立軸になる」
(聞き手=宜野湾市長選取材班・比嘉大熙)
さきま・あつし 1964年8月生まれ。宜野湾市真志喜出身。市議や県議を経て2012年宜野湾市長選で初当選し、2期6年務めた。
とうばる・いさお 1958年11月4日生まれ。宜野湾市普天間出身。97年、宜野湾市議補選で初当選を果たし、8回連続当選した。
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