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[社説]沖縄予算概算要求 「県外し」が一層鮮明に

沖縄タイムス+プラス / 2024年8月31日 4時0分

 内閣府は、2025年度沖縄関係予算の概算要求を決定した。

 総額は2820億円。24年度概算要求から100億円減り、県が求める3千億円台を4年連続で下回った。 

 当初予算で見ると、14年度の3501億円を境に減額傾向に転じ、22年度以降は2600億円台に落ち込んでいる。24年度当初は2678億円だった。

 減額が目立つようになるのは、新基地建設に反対する翁長雄志知事誕生後の予算編成からだ。後継の玉城デニー知事になって、その傾向はより鮮明に。基地を巡る政府と県の対立が背景にあるのは明らかだ。

 県が使途を決められる自由度の高い「一括交付金」は783億円を要求する。ただ県の切実な増額要望との隔たりは大きい。一括交付金も14年度の1759億円をピークに減額が続いている。

 時の財政状況により、ある程度の増減はやむを得ない。ただ国の予算が過去最大に膨らむ中、なぜ沖縄予算は縮んでいくのか。

 一方で、国が県を通さず市町村に直接交付する「特定事業推進費」は、概算要求で100億円の大台に乗った。19年度に30億円でスタートし、急激に増えている。

 かつて保守県政を支える経済学者が「沖縄振興予算は基地維持装置」と指摘したことがあったが、今や、そのレベルをはるかに超え「県外し」が鮮明になった。

■    ■

 概算要求の過程で漂ったのは、これまでとは違う異様ともいえる雰囲気である。

 沖縄関係予算の確保を巡り、県市長会と県町村会が、県との合同要請を見送った。昨夏は連名で要請したが、県が一緒だと予算増額に結び付かないからだという。

 概算要求の内容について、自民党県連関係者は「県ができないことを国と自民党が連携した結果」と評価する。6月の県議選で自民が躍進し中立を合わせて過半数を獲得した効果だ、と言ってはばからない。

 2年後の知事選を意識した対応が目立つが、その意味で今回の概算要求は、玉城知事の孤立化を印象付ける「政治予算」の性格が色濃い。

 「基地と振興はリンクする。基地を認めなければ予算は付けない」という暴論を認めれば、沖縄振興の理念は根本から崩れる。

■    ■

 新規事業として調査費が盛り込まれた「GW(ゲートウェイ)2050PROJECTS」構想についても気になることがある。

 県経済界と那覇、浦添、宜野湾3市が連携し、那覇空港と西海岸の基地返還跡地を一体的に開発する大構想にもかかわらず、県の関わりが見えないことだ。

 重要施策は県や市町村、経済界が認識を共有して、取り組まなければ成果が得られない。 

 「強い沖縄経済」という共通目標に向かって県も主体的に関与すべきだ。玉城知事はこの分野でもっと汗をかいてもらいたい。

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