ナオキ屋が6年ぶりアルバム『音楽活動引退宣言』 ロックから落語まで自由な音の世界
沖縄タイムス+プラス / 2024年9月14日 10時0分
ミュージシャンのナオキ屋が6年ぶりとなる13曲入り新アルバム『音楽活動引退宣言』を7月27日に配信リリースした。全曲の作詞作曲だけでなく、編曲や録音、アートワークなどを全て一人で手がけた。親交の深いミュージシャン仲間らと積極的にフィーチャリングしており、人との関わりを大切にしてきたナオキ屋自身の人生を味わえる作品でもある。収録曲はアメリカンロック、カントリー、エレクトロニカ、ヒーリングミュージック、はたまた落語など、ソロミュージシャンならではの自由度の高さと多彩さで、どの角度からでも純度100%のナオキ屋が楽しめる一枚だ。
ナオキ屋ウェブサイト
https://naokiya-web.studio.site/
「できないことをやってみよう」精神
-6年ぶりの新譜となりました。
ここ数年「新しいアルバム出すぞ」ってずっと思っていたんですけど、なかなかできずにいました。本当は6月に出す予定でしたが、パソコンが壊れるなどのハプニングもあって延びてしまいました。
―アルバム名『音楽活動引退宣言』に込めた思いを聞かせてください。
1曲目に同名の曲があって、この名前が一番インパクトがあるなぁと。「音楽やめる」って言ったら、みんな聴いてくれるんじゃないかなと思って(笑) 。響きもいいですし、アンチテーゼの意味も込めて付けました。
-他のミュージシャンではなかなか例を見ないほど、たくさんのジャンルの曲を詰め込めたアルバムが完成しました。
もともと僕は飽き性なんですよ。例えば、メタルが好きな人ってずっとメタルやるじゃないですか。(米国の有名バンドの)メタリカは40年ぐらいずっとメタルをやっていますが、もしもいきなりポップな曲を出したら、ファンが怒ると思うんですよ。メタルという枠でたくさんの作品を生み出して完結できるのがすごいと思っています。逆に僕は周りから枠組みを求められていない分、スーパー楽チンですよ。何やってもいいんで、落語までやっていますからね。音の作品は必ずしも「音楽」だけでなくてもいいと思っています。
-ファンクもゴスペルもありますね。
わざといろんなジャンルに挑戦しています。「できないことをやってみよう」という精神です。意識しているのは、その音楽をちゃんと勉強するということです。そのジャンルが好きな人が聴いても「この人はちゃんと聴いているんだな」と説得力を持たせられるように音色やフレーズを組み立てています。リスペクトをしながら作っているつもりです。
-曲順はどのように決めたのでしょうか?
端的に言えば「昔の中日ドラゴンズのジグザグ打線」です。右打者と左打者を交互に並べた打順みたいに、とにかく違う曲調のものをバラエティーに富むように並べていきました。
たくさんの人とコラボ「1人は寂しいから」
-歌詞の世界観もナオキ屋さんの心の中から真っすぐ飛び出しているという印象があります。
もともと、漫画『行け!稲中卓球部』の作者の古谷実さんに憧れて、漫画家を目指していたこともあって、想像の世界を作っています。愛情持って作ってるんですよ。シャレで作ってはいて、ふざけてもいるんですけど、これが僕から普通に出てくる世界観です。正気ではない人が好きなんですけど、自分ではそれになれなくて、まねしているだけなんですよね。そういった(常軌を逸した)ものは美しいと思います。
-6年ぶりのレコーディングを振り返っていかがでしたか?
明らかにギターが下手になっていたんですよ(笑)。最初の1週間はずっとベースの練習をしていたり。カントリーソングの『タクさんとミナさん』では、バンジョーも弾いてるんですけど、もう、下手くそすぎて。下手ということがバレないようなフレーズを工夫して作りました(笑)。あらが目立たないように目立たないように。
-今回、たくさんの方とフィーチャリングして、関わっている方が多いアルバムになっているかと思います。
1人で完結できるっちゃあ、できるんですよ。だけどそれだとあまりにも寂しくて。
-ナオキ屋さんは毎年ユニークなカレンダーを作って配布していますよね。
毎年9月~12月はカレンダーを制作しています。決して言い訳にはしたくないんですけど、それが忙しすぎてアルバム作っている場合じゃなくなってたんですよ(笑)。本末転倒だなぁと思うんですけど、音源よりカレンダーを待っている人の方が多いんで。今は娯楽やエンタメの選択肢もたくさんあって、アルバムを出してもずっと聴いてくれる人は少なくなってきていると思うんです。カレンダーなら一年中そばにいられて、僕のことを思い出してくれますよね。そうやって宣伝もできればと考えています。
「思いついたことは全て実行できる」
-ナオキ屋さんの現在のスタイルはどのように確立されていったのでしょうか。
前に組んでいたインストバンド「男性自身」の解散後、表現を続けたくてライブハウス・浦添Grooveに通っていたら、(データ入力で自動演奏する)打ち込みでライブしている人がいたんですよ。「1人でもいろんな音を出してライブできるんだ」と思って。最初はカセットMTR(多重で録音再生できる機材)に、リズムマシン(主にドラム音を自動演奏できる機材)とベースの音を録音して、それに合わせてギターを弾いていました。最初は歌っていなくて、ずっとギターソロ(笑)。それから、手持ち無沙汰で歌ってみようとなりまして。1人だと何やっても自由ですよね。母ちゃんの声をサンプリングしたり、ファミコン音源を使ったり、サックス経験もないのにレコーディングしてみたり。思いついたことは全て実行できます。
-最後、読者の方にメッセージをお願いします。
僕はもう、今後アルバムを作る予定がない! これで皆さんのお眼鏡にかなわなかったら、本当に引退します! だから聴いてください!
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