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[社説]進路未決定者調査 届く支援を早く もっと

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月15日 4時0分

 中学校卒業時に進路が決まっていなかったり、高校を中退したりした青少年の実態調査を県が初めて実施した。

 子どもの居場所などの支援施設を利用する16~20歳の76人に聞き取りした結果、支援施設利用前の将来に対する期待は「特になし」「未回答」が計44.8%で、半数近くが未来に望みを持てないと感じていた。

 支援前に抱いていた不安は「学業・就学」(25%)や「将来の経済的自立」(19.7%)などだった。

 一方、支援施設につながった後は目標が定まったり、目標に向けて前進したりする割合が3倍に増えていた。適切な支援により、前を向く青少年が増えたことが分かる。

 県内の中学卒業時の進路未決定者は200~300人で推移しており、2023年度は未決定率が2%で全国平均の2倍だった。高校中退率も全国より高く、22年度は1.8%だった。

 県は、進学も就職もしない状況が将来に影響を及ぼし、子どもの貧困につながるとみて調査を行った。

 当初、市町村の教育委員会などを通して中卒進路未決定者や高校中退者にアンケートを送付する予定だったが、追跡が難しく、相談支援員らがヒアリングする形を取った。

 調査から漏れた、支援につながっていない青少年ほど厳しい状況に置かれていることが推測される。

 調査で支援の有効性が分かったからこそ、こぼれ落ちた青少年に積極的にアプローチする「アウトリーチ」型の支援の必要性が再確認されたといえる。

■    ■

 進路未決定や中途退学に至る課題が発生したのは小学校・中学校の義務教育中がほとんどだった。その際、8割が「支援者がいた」と答えている。多くは教員ら教育関連支援施設職員だった。相談支援や心理的サポート、仲裁・介入、学習支援を受けていた。

 支援があったのに防げなかったのはなぜか。家庭環境や経済問題など学校だけでは解決できない複雑な問題があったのか。

 進路未決定や退学に至った理由は、いじめや非行、経済状況、家族の病気、授業についていけないなど、さまざまだった。

 困り事は一人一人違う。何に困っていて、どんな支援を求めているのかを的確に把握し、ニーズに合ったオーダーメードの支援が必要だ。

■    ■

 支援施設を利用する理由に「誰かと話したかった」「通う所が欲しかった」の声も寄せられた。孤立し、孤独に陥る青少年の姿が見える。

 進学や就職しなければ社会との接点がなくなり、孤立は進む。困っている人こそ声を上げづらく、社会も気付きづらい。

 学校を離れた青少年とのつながりをつくるためには、もう一歩踏み込んだ支援が必要になる。課題発生は義務教育中で、早い時期からのアプローチが欠かせない。支援の糸が切れないよう、社会に編み目の細かいセーフティーネットを張り巡らせたい。

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