1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

[社説]自民総裁選 沖縄演説会 負担軽減ほぼゼロ回答

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月18日 4時0分

 自民党総裁選の地方演説会が那覇市でも開かれた。複数の候補者が県民所得の向上や子どもの貧困解消を訴えた一方、米兵による事件事故や米軍普天間飛行場の閉鎖・返還など基地問題解決に向けての具体策への言及はほとんどなかった。

 総裁選は過去最多の9人が立候補。事実上、次期首相を決める選挙でもある。それにもかかわらず県内で開催された演説会で基地負担の軽減について語られなかったことは非常に残念だ。

 演説会は各候補者が10分間、持論を述べる形式。沖縄担当相経験や現役の外相、基地負担軽減担当相を兼ねる官房長官など政権や党の要職が並ぶ中、多くが沖縄との関係の深さをアピールするのに時間を費やした。

 林芳正官房長官、茂木敏充幹事長は「普天間返還」に触れたものの、返還期限は明示しなかった。

 茂木氏は首相になったら米大統領と会談し「返還期限を決める」と述べた。

 だが、そもそも普天間は1996年に日米が「5~7年以内の返還」で合意。2013年には当時の安倍晋三首相が「5年以内の運用停止」も約束している。

 上川陽子外相は唯一、米軍関係者による性犯罪に触れた。「二度と起こさせないとの厳しい姿勢で交渉に臨む」と強調した。

 しかし外務省は、昨年12月に起きた少女の誘拐暴行事件を県に知らせず、その後も米兵による性犯罪は繰り返し発生した。事件事故防止を目的に創設する「フォーラム」もいまだに発足しておらず、言葉に内実が伴っているとは言い難い。

■    ■

 石破茂元幹事長は辺野古新基地建設について「十分に沖縄の理解を得て決めたかというと必ずしもそうではなかった」との認識を示した。

 加えて石破氏は、日米地位協定改定について「見直しに着手する」と初めて踏み込んだ。「米軍基地を自衛隊と共同管理する」とも主張した。

 小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル相、加藤勝信元官房長官、高市早苗経済安全保障担当相、小林鷹之前経済安保相は、基地負担の軽減について全く触れなかった。

 米軍基地の集中は県経済を長年阻害し、県民生活に大きな影響を及ぼしてきたのである。

 負担が軽減されなければどんな沖縄政策も上滑りすると知るべきだ。

■    ■

 日本の安全保障は、本土の人たちが日米安保の負担を感じないで済むよう沖縄に基地を集中させることで成り立ってきた。

 そうした中、岸田文雄政権下ではさらに「南西シフト」で自衛隊強化が進む。

 このまま日米の基地負担を沖縄に押し付けるようなやり方でいいのか。過重な負担を見て見ぬふりするような態度は許されない。

 今回の総裁選は9人の立候補により、国会議員票の分散が予想される。より地方票が重みを増すだろう。誰が首相にふさわしいのか。問われるのは全国の党員・党友でもある。 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください