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[社説]MICE入札不調 県戦略の見直し必要だ

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月20日 4時0分

 県経済活性化の柱であり、東海岸エリアの核となる大型プロジェクトだ。入札が不調に終わった理由を検証し、計画の見直しを急ぐべきだ。

 与那原町と西原町にまたがるマリンタウン地区で県が進める大型MICE施設について、参加を希望する事業者がゼロという事態になった。

 入札期限までに応札した企業はなく、県は条件や工期を見直して再度、入札公告する方針だ。目標だった2029年の開業は難しく、仕切り直しを余儀なくされた。

 MICEとは「会議」「報奨旅行」「大会」「展示会」を示す英語の頭文字を取った造語。大規模国際会議を柱に、その受け入れに特化したのがMICE施設である。県の構想は民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式で、14万5千平方メートルの敷地に大型展示場や会議室、ホテルなどを一体整備しようというものだ。

 計画への参加に事業者が二の足を踏む要因の一つとなっているのが、施設とセットとされているホテル建設だという。

 大規模な会議や大型イベントを切れ目なく誘致できればいいが、宿泊客をコンスタントに維持できるのか。東海岸には目玉となる観光施設が少なく、ホテル建設の前例も多くない。採算の見通しが立たず入札に応じられない、というのが実情のようだ。 

 東海岸地域の期待は大きい。県は計画を軌道修正し、事業者が参加できる道筋を見いだす必要がある。

■    ■

 MICE構想は紆余曲折を経てきた。

 仲井真弘多知事時代に構想が打ち出され、翁長雄志知事が15年にマリンタウン地区を選定した。西海岸に観光施設が集中していることから「県土の均衡ある発展」を重視したためだ。

 当初、20年の開業を目指したが、採算性を重視した国との間で協議が整わなかった。辺野古新基地建設を巡る政府との対立も影を落とした。

 玉城デニー知事は20年、事業費として考えていた一括交付金を断念。22年には整備費500億円を350億円に圧縮し、展示場規模を従来の3分の1となる1万平方メートルに縮小した。

 その間、コロナ禍や建設資材の高騰、人手不足など社会情勢も大きく変化。県の一大プロジェクト実現に向けた県民や経済界の情熱や機運は、陰りを帯びてきたように見える。

■    ■

 MICE構想を推し進めるには、県の戦略を改めて練り直す必要がある。

 前提とされるホテル建設は、施設や空港とホテルをつなぐ交通網を整備することで再考の余地が生まれるのではないか。イベント開催地として選ばれるための魅力ある地域づくりも重要である。

 「大型施設を核とした戦略的なMICE振興」は新沖縄21世紀ビジョン基本計画に盛り込まれた県の方針だ。玉城知事が先頭に立って地元自治体や国、事業者をまとめ、機運を再び高めてほしい。

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