沖縄の地価上昇が止まらない 住宅地で伸び率全国1位はあの場所【タイムス＋プラスから14日～20日】

 

　今週は台風13号に続いて台風14号が沖縄地方に近づきました。19日は大潮だったため、那覇市の海岸付近の遊歩道では満潮時に10センチほど冠水しました。

那覇市で遊歩道冠水 大潮と台風の影響で潮位高く

大潮＋台風接近　遊歩道まで海水が　

　沖縄気象台によると、夏から秋にかけては冬に比べて気圧が低く、海水温が高いため、平常時の潮位が年間を通じて高い時期に当たるそうです。そこへ台風が接近すると、潮位が大きく上昇することがあります。気圧が1ヘクトパスカル下がると1センチ潮位が上昇するといわれており、今回の台風の勢力がもっと強かったら数十センチ潮位が上がったかもしれません。まだまだ続く台風シーズン。高潮にも注意が必要です。

　潮位について解説した気象予報士・崎濱綾子さんのコラムはこちら

住宅地の上昇率は5.8％　全国1位

　今週は土地を巡るニュースが目を引きました。17日発表の基準地価調査によると、県内の林地を除く全用途の平均が11年連続で上昇しました。上昇率は東京都に次いで2位の5.9％。住宅地の上昇率は5.8％で全国1位だとか。

　住宅地の中でも、恩納村真栄田がプラス29.0％で全国トップの上昇率でした。前年もプラス28.9％の伸びで地価の上昇が止まりません。有数のダイビングスポット「青の洞窟」に近く、県外からの移住需要が強いことが要因に挙げられます。他にも、テーマパーク「ジャングリア」の来年開業を控え、沖縄本島北部でも住宅地の需要が高まっているそうです。

沖縄本島北部でも住宅地の需要強まる ジャングリア開業見据え

　18日付朝刊の経済面には、宮古島市が18～39歳の若者を対象に市営住宅の空き部屋を提供するという記事が載りました。民間賃貸住宅の家賃は、郊外でも1Kで7万5千～9万円（！！）するそうで、これでは若い人が島に戻って働こうにも住む家の確保が壁になりかねません。

宮古島市が市営住宅を提供　若者対象に空き部屋10戸

　活発な土地取引の一方で、地元の住民にとっては住宅購入やUターンが厳しくなる課題を東江郁香記者が解説しています。

　県内の基準地価の一覧表も配信しています。ぜひ、チェックしてみてください。

ホテル誘致のめどが立たないまま…

　ホテルの開発計画が各地で進み、用地の引き合いも強い県内ですが、気になるニュースも。大宜味村が埋め立て地「結の浜」で進めているリゾートホテルの誘致が予定より大幅に遅れています。2023年度の着工を目指していたものの、いまだに建設のめどは立っていません。

　事業が遅れている背景には、建設費の増加や埋め立て地の地盤懸念などがあるそうです。一方、大宜味村がホテルの宿泊客の利用を見越して整備する海浜公園は10月に本格着工へ。比嘉海人記者がリポートで詳報しています。

　与那原町と西原町にまたがるマリンタウン地区で沖縄県が進める大型MICE施設整備も、目標の2029年開業が難しくなりました。期限までに入札参加を表明した事業者はゼロ。ホテル併設の要件が参入しづらい一因との声も聞かれます。県は条件や工期を見直した上で再び入札公告する方針です。

MICE施設の入札不調　ホテル併設要件に経済界から厳しい声

英国発　2035年の沖縄を描いた小説

　最後は2035年の沖縄を描いた小説の話題です。英国人作家ヴェネシア・ウェルビーさんの近未来小説「Dreamtime」（ドリームタイム、Salt社）が英国で評価を受け、映画化に向けた計画が進んでいるそうです。

元米兵の父捜す主人公… 沖縄を題材にした英国発小説

　小説の舞台は2035年の沖縄。米軍基地の過重な負担も描いたウェルビーさんは「欧米人の関心を沖縄の現状に向けたい」と話しています。

　1年先も見通すのが困難な時代ですが、11年後の沖縄ってどうなっているんでしょうか。外からの視点でどう描かれているのか、小説を読みたくなりました。　「ドリームタイム」の日本語訳に取り組むホプキンソン・上原江吏子さんがウェルビーさんにインタビューした記事も配信しています。3連休に読むのかいかがでしょうか。

ウェルビーさんインタビューはこちら

　それでは今週はこの辺で。デジタル編集部の大門雅子が担当しました。