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[社説]オスプレイ出火事故 危険性の放置許されず

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月23日 4時0分

 米西部ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地でMV22オスプレイのエンジンから出火する事故が起きた。

 カリフォルニアを拠点とする第3海兵航空団に所属する機体で、訓練中にエンジンから火災が発生した。

 基地内の消防によって火は消し止められ大事にならずに済んだが、出火の原因は分かっていない。事故前に故障などの兆候も見られなかったとしている。

 相次ぐ事故に安全性の懸念が消えない。

 昨年11月、鹿児島県屋久島沖で空軍のCV22オスプレイが墜落し、搭乗していた8人全員が死亡した事故で、不安は一気に高まった。

 米軍は世界中でオスプレイの飛行をいったん停止したが、海兵隊は今年3月、空軍も7月に飛行を再開している。

 屋久島沖の墜落事故を巡り公表された米軍の調査報告書は、根本的な原因の特定には至らないという内容だった。ギアにひびが入ったが、その理由は分からないというのだ。

 にもかかわらず政府は安全対策を講じれば事故を予防できる、米軍も安全に運用できる確信があるとした。

 原因不明のまま「安全だ」と言われても、納得できるわけがない。

 今回のエンジン出火に関しては、飛行停止などの予定はないという。 

 オスプレイで相次ぐ事故は、前の事故の再発防止策が講じられた後に、別の原因で起きている。

 その事実を軽視しているのではないか。

■    ■

 米軍普天間飛行場には海兵隊のオスプレイが24機配備されている。嘉手納基地にも空軍や海軍仕様の機体がたびたび飛来する。

 「構造的欠陥」が指摘される米軍機が、日常的に頭上を飛び交う恐怖を想像してもらいたい。

 2022年10月、カリフォルニアのミラマー海兵隊基地で起こったMV22のエンジン出火は、機体を全焼し「クラスA」の事故に分類された。

 「事故の情報を聞くたびに不安が募る」「エンジン出火からさらに大きな事故につながる可能性がある」という基地周辺住民や県幹部の声は、決して大げさなものではない。

 今回の事故について、県民の安全を重視するのなら、政府はきちんとした調査と原因究明を米側に迫るべきだ。

■    ■

 世界一危険といわれる普天間飛行場の返還は、県政の最重要課題である。

 ところが先週、那覇市で開かれた自民党総裁選の演説会では、普天間の危険性除去について誰も具体的に言及しなかった。

 普天間飛行場が返還されるのは最短でも12年後、その間、危険性の除去をどのように進めていくのか-。県民が最も聞きたかったことだが、一人として切り込まなかったのだ。

 沖縄の安全が脅かされるのを見て見ぬふりをして日本の安全保障が成り立っているとしたら、政治の責任放棄というほかない。

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