[社説]立民新代表に野田氏 「政権構想」明確に語れ
沖縄タイムス+プラス / 2024年9月24日 4時0分
立憲民主党の新しい代表に野田佳彦元首相が選出された。
自民派閥の裏金事件や自民党と旧統一教会の関係を巡り、政治に厳しい目が注がれている。
政権の緩みやおごりをただし、批判票の受け皿となるためにも、野党第1党の党首としての野田氏の手腕が問われる。
代表選には4人が立候補。野田氏は決選投票で前代表の枝野幸男氏を破り選出された。選出後の第一声で「本気で政権を取りに行く覚悟だ」と決意を語った。
早期の衆院解散総選挙がいわれている。政権交代を狙うからには、国民に責任ある政権構想を提案しなければならない。
「政治とカネ」問題の払拭はもちろんのこと、外交・安全保障や経済面で希望と安心感をもたらす政策を打ち出すことが求められる。
立民はジェンダー平等や選択的夫婦別姓、分配重視の経済政策などで現政権との違いをアピールする。自民総裁選で浮上する「解雇の規制緩和」については「働く側にプラスはない」とし、人手不足の産業の賃金改善や産業創出などの環境整備などを求める。
基本政策について党としての方向性を明示した上で、連立政権をはじめ政権交代への具体的な道筋を示すべきだ。
多様な選択肢は、若者など政治との距離を感じている人たちの参加につながる。国民が「政治は変えられる」と実感できるような発信が求められる。
■ ■
名護市辺野古の新基地建設問題で野田氏は、工事をいったん中止し米側と交渉するという「党の方針を踏まえ対応する」とした。軟弱地盤による工事の長期化やコスト増大などを問題視している。
県が求める日米地位協定の抜本的な見直しについても、改定に向け日米政府による協議の必要性に言及するなど理解を示す。
立民は、県内で「オール沖縄」勢力の一翼として共産、社民、社大などと連携する。一方、存在感が高いとはいえない。
野党連携について野田氏は「野党勢力の議席を最大化する」と表明。「穏健な保守層」の取り込みと同時に、日本維新の会や国民民主党との連携にも前向きな考えを示した。
政権交代に連携が鍵となることは間違いない。ただ、地域によってもその在り方は異なる。地域の事情に配慮した連携を模索すべきだ。
■ ■
野田氏は今回、代表選で長年袂(たもと)を分かってきた小沢一郎氏の支援を取り付けた。
小沢氏とは、旧民主党時代に消費税増税に関して対立し、小沢氏らが集団離党した経緯がある。政権奪還に向け、党内で結束した形だ。
立民はこれまで主要な政策を巡り、党内の路線対立がたびたび先鋭化してきた経緯がある。まずは党内が一致しなければ、他党との連携はおぼつかない。次期衆院選に向け、挙党態勢の構築が求められる。
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