患者が主体的に選択できる「乳房再建」 多様な治療法で心身の苦痛を癒やす
沖縄タイムス+プラス / 2024年9月25日 8時50分
[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1344)
「乳房再建」という言葉を耳にしたことがある人は多いかもしれません。乳房再建の概念は実は半世紀以上前からあり、さまざまな人工物や自家組織での再建手術が行われてきました。
しかし日本乳がん学会と日本形成外科学会が共同で乳がんに対する形成手術の技術的な発展、普及啓発を目的とした学会(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)が正式に発足したのは、2012年と割と最近のことです。
「乳房オンコプラスティックサージャリー」とは、乳がん手術において腫瘍の根治性と乳房の整容性を両立させる外科的治療のことです。治療で女性の象徴でもある乳房を失うことは、患者さんにとって大きな精神的苦痛となります。乳房組織量の左右差が生活面で不自由を引き起こすこともあります。このような心身の苦痛を癒やし、手術後も女性としてよりよい生活を送れるように手助けをする目的で行われる医療が、学会に属する私たちが目指すところです。
医療現場では13~14年の人工物乳房再建の保険適用で、乳房全摘術に人工物を併用する流れが加速しました。その後乳頭乳輪温存乳房切除術、皮膚温存乳房切除術が保険適応となり、乳がん治療においても整容性がますます重要視されるようになりました。しかしいずれの治療法においてもそこにがんの根治性がなくてはならず、そのためには乳腺外科医と形成外科医の密な連携を必要とします。
日本形成外科学会認定専門医は県内で増えつつあり、乳房再建数は今後さらに増えるものと考えます。一方で、遺伝子検査や免疫組織学的診断からの化学療法も目まぐるしい進歩を遂げており、手術をはじめ放射線治療や薬物治療などの組み合わせは個別に決定されます。
乳房再建はがんの根治性や社会的背景を含めてにはなりますが、患者さんが主体的に選択して治療に臨むことができる保険手術です。日進月歩の医療現場において医療者は、これらの情報を患者さんに提供していく必要があり、また医療の質を高めていく必要性があると実感しています。(吉田絵理、那覇市立病院形成外科=那覇市)
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