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[社説]能登「複合災害」 物心両面の支援 全力で

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月26日 4時0分

 能登半島地震の被災地を豪雨が襲うという「複合災害」が発生した。

 「もうさすがに立ち直れない」「心が折れそうだ」との声に、胸が締め付けられる。

 初動対応が遅れた地震の教訓を踏まえ、政府は今こそ支援に全力を挙げるべきだ。

 石川県能登地方で前線や低気圧の影響によって線状降水帯が発生したのは21日。輪島市、珠洲市、能登町に大雨特別警報が出されるなど記録的な大雨に見舞われた。

 48時間雨量が輪島市で約500ミリ、珠洲市で約400ミリと観測史上最大を更新し、平年の9月1カ月分の2倍に達した。

 河川の氾濫も26に及んだ。土砂崩れが起き、住宅が流され、多数の集落が孤立した。

 マグニチュード(M)7.6、最大震度7の地震が能登半島を襲ったのは今年の元日。あれからまだ9カ月しかたっていない。

 河川の氾濫や土砂崩れは、地震の影響で拡大したとの見方が強まっている。地盤が弱まり、護岸や堤防が損傷したところへ、大量の土砂が押し出されたという。地震と豪雨による複合的な災害だ。

 25日夜までに11人の死亡が確認されている。行方や安否が分からない人たちの捜索も、固まった泥を取り除きながら懸命に続いている。

 一刻も早い救助を祈るばかりだ。

■    ■

 心配なのは、地域の復興や被災者の生活再建の遅れである。

 今回の豪雨では、地震で被災した住民が入る仮設住宅団地6カ所も浸水被害に遭った。

 住宅に水が押し寄せ、室内に泥が流れ込んだ様子がテレビに映し出されていた。地震で自宅が全壊し入居した住まいが再び被害に遭うとは、なんと無慈悲なことか。 

 検証しなければならないのは、浸水被害が発生した仮設団地6カ所のうち4カ所が洪水浸水想定区域に含まれていたことだ。

 山間地が多く用地不足からやむを得ず建設した事情もあろうが、生活再建の土台となる仮設住宅で受けた「二重被災」のショックは計り知れない。

 安全確保の観点に立てば、自治体を超えた広域での用地選定も、今後の検討課題とする必要がある。

■    ■

 被災地では泥の除去や災害廃棄物を運び出す作業でボランティアによる活動が始まっている。

 能登半島地震では、石川県が当初、渋滞を理由に「来ないで」と発信したことがマンパワー不足を招いたとされる。

 疲労の色が濃い被災者を支えるためにも、ボランティアの力を活用したい。

 自民党総裁選の候補者からは大規模災害に対応する「防災省」設置の意見が出ている。立憲民主党などは復旧・復興に向けて早期に補正予算を編成すべきだと主張している。

 複合災害への対応強化も急がなければならない。

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