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「誰も殺さないで」曲に込めた“当たり前のメッセージ" アルカシルカが新アルバム「ききゅう」

沖縄タイムス+プラス / 2024年9月26日 10時0分

ライブで演奏するアルカシルカ=2024年7月、オーストリア・ウィーン(Paayarazzi提供)

 沖縄と東京にそれぞれ在住するメンバーからなる5人組バンド「アルカシルカ」が、3枚目となるブックレット付きアルバム「ききゅう」を9月18日にリリースした。平仮名の「ききゅう」には「危急」と「希求」の二つの意味を含んでおり、世界中で戦争や紛争が絶えない現状に対して平和や安全への願いを込めた。9月15日から翌年2月にかけて敢行する国内外約20本のライブツアーを前に、ボーカルのUとアコーディオンのmariに今作への思いなどを聞いた。

アルカシルカ
ボーカル U、アコーディオン・ボーカル  mari、ベース・ボーカル AOI、ギター・コーラス NOK、ドラムス・コーラス RAMEN○。フォーク・パンクやハードコア・パンクを融合した「スラッシュ・フォーク・バンド」を掲げる。音楽スタジオやショップ、アトリエなどを組み合わせた沖縄市の複合施設・NEO POGOTOWNを拠点としながら、国内外で広く活動。前作アルバム「実像と虚像」はCD販売大手Disk Unionのジャンル別週間チャートで1位を獲得し、2週間でレコード盤500枚を完売した。

「今起きていること」現代風の音質で表現

 -前作からわずか10カ月でアルバムをリリースしていますね。

 U ウクライナやパレスチナなど世界中でたくさんの問題が起こっていて、それに対してアクションを起こしている人たちがいる中で「反戦平和」という当たり前のことすら重たい言葉のようになっていると感じています。アルカシルカは時間をかけて音源を作ることが多いんですが、反戦平和を訴える全国の仲間たちにできるだけ早く連帯の気持ちを届けたくて、早い段階で今作をリリースしました。

 -ワイルドでスモーキーな音質の過去作に比べて、3作目となる今作ではクリアな音質に変わっている感じがします。

 mari だいぶ違うと思います。これまではわざとボロボロの音にしてきました。今作自体が「今起きている現実的なこと」をテーマにしているので、音の感じも現代っぽくしています。

 U 7月に4カ国を回るヨーロッパツアーに出て、そこから日本に帰ってきて東京でレコーディングしました。ツアーでライブをしながら、実践の中で作品も仕上げていきました。

どこの、どんな立場の人でも

 1曲目に収録されている「We hope!」では「窓を開けられる 食事ができる 布団で寝られる そんな当たり前」と、逆説的な問題提起から始まる。そして「ハチドリのひとしずく この声を形に変えよう」と、音楽とメッセージで力になるんだという決意がのぞく。

 -「We hope!」を1曲目に据えたのにはどのような背景があったのでしょうか。

 U 当たり前のメッセージを発している曲ではあるんですよ。「誰も殺さないで」とか「戦争は嫌だ」とか「当たり前の生活をさせてあげてほしい」とか。どこの国の人でも、どんな立場の人でも、自分とは思想が違う人でも、死の恐怖や危険にさらされることがないということからスタートすべきだと思っています。「それを私たちは願っているよ」ということを大事にしました。

 mari この曲が今作のテーマのような存在です。

人工言語・エスペラント語を採用した理由

 5曲目「왜?why? 为什么?」、7曲目「AFTER LAND」では多言語での歌詞にも挑戦している。英語やスペイン語、中国語のような話者数の多い言語のみならず、セルビア語やチェコ語、エスペラント語(人工言語)なども含んでおり、より国際的な視座を持って作品作りに取り組んでいるといえる。

 -多言語で歌詞を書いているのはなぜですか?

 U もともとは日本語の語感を大切にしながら曲を作ってきたんですが、海外でライブをしたり、沖縄で外国の人と友達になったりして、世界中にいろんなつながりができた中で、一度日本語にこだわらずにやってみようと。行ったことのある国や友達の住んでいる国の言葉を入れています。

 mari そうすることで(言語と実世界が)思い浮かびます。その言語を使っている人の顔が見えるというか。人工言語のエスペラント語も、国内外のパンクバンドが歌詞にしていることが多いんですよ。

 U エスペラント語の「どこの国にも属していない」という中立性も大切だなと思っています。

「地雷は野菜に敵わない」

 6曲目「地雷と野菜Ⅱ」では「地雷よりも野菜を 戦場よりも農場を 爆撃よりも種まきを」「地雷は野菜に敵(かな)わない」というように、戦争や兵器よりも食べ物を求める姿勢を打ち出している。「あまりに極論 それでも理想論」と、現状を変える難しさを理解しながらも「何度でも言わせてよ」と、その勢いを緩めない。

 -「地雷と野菜Ⅱ」に込めた思いを聞かせてください。

 U 地面に埋めるんだったらどう考えても地雷よりも野菜の方が良いじゃん、という考えが根底にあります。

 mari もともとはゲーム音楽の依頼を受けて作ったものをアレンジしました。「Food Not Bombs(兵器ではなく食物を)」という世界的なムーブメントがあって、それに対するアンサーにもなっています。

 -今作について何か読者へメッセージがあればお願いします。

 U 音楽的には騒がしいかもしれませんが、同梱のブックレットが小説になっているのでそちらも併せてぜひ読んでください。曲の解説を初の小説形式で挑戦してみました。なかなか沖縄ではCDが手に入りづらいのでサブスクでも聴けます。良かったら聴いてください!
 

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