近年増える芸人主催のライブ 場を提供する先輩芸人の思いとは 「浦添ウインドゥ寄席」9月29日

第9回の「浦添ウインドゥ寄席」の様子＝6月、那覇市の壺屋演劇場かさね

　お笑いコンビ・浦添ウインドゥが主催するお笑いライブ「浦添ウインドゥ寄席」が9月29日で10回目を迎える。那覇市の壺屋演劇場かさねで2022年10月から不定期開催しており、よしもと沖縄所属の芸人らが舞台に立つ。浦添ウインドゥは普段、ツッコミの島智大が沖縄に、ボケの積友也が東京に住んでいる遠距離コンビ。「浦添ウインドゥ寄席」は彼らにとってどのような意味を持つのか。島に聞いた。

浦添ウインドゥ
福岡県久留米市出身の島智大と、沖縄県浦添市出身の積友也からなるお笑いコンビ。2007年結成。東京の芸能事務所「フラットファイヴ」に所属・活動した後、よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ1期生として沖縄での活動を始める。

お笑い劇場事情の変化

　浦添ウインドゥに限らず、近年では事務所やイベンターではなく、芸人自身がライブを主催する例が増えてきている。オリオンリーグの玉代勢直が主催するスタンダップコメディーのライブ「玉ライブ」は9月18日で36回を数え、相方の剛くんが主催する「ギャグしようぜ。」は毎月開催でギャグ芸人の活躍の場になっている。初恋クロマニヨンも毎回ゲストを招いて「初恋と♡」を開催している。

　また、吉本興業が直営していた劇場「よしもと沖縄花月」が2022年4月に閉館してから、沖縄の吉本芸人らが定期的に舞台に立つ機会が減少した。代替する格好で壺屋演劇場かさね、Output、カレー屋タケちゃん（いずれも那覇市）などでのライブ開催が増えていったという面もある。

沖縄でウケるネタ・東京でウケるネタ

　－「浦添ウインドゥ寄席」を立ち上げた経緯を教えてください。

　よしもと沖縄の常設劇場がなくなったということもありますが、われわれも芸歴を重ねていって、目指す賞レースが「THE SECOND ～漫才トーナメント～」になったということがあります。THE SECONDは6分間ですが、普通のライブはだいたい4分間や5分間なので、6分のネタを実践的にやろうと思ったら自分たちでライブを主催して場を作る必要があったからです。

　－賞レースで注目を集めたことがきっかけで世に出てくる芸人もたくさんいますよね。

　やはり、賞レースで勝ち上がって有名になろうと思ったら、ネタをかける場がなければ勝てません。後輩もまだM-1にチャレンジしている連中ばかりなので、一カ所でも多く、劇場でネタをやる場を作りたいと思っています。みんなちゃんとネタの練習をしているのに、披露する場がないから、周囲の人から「バイト先のきさくな兄ちゃん」って思われてるだけってことも多いんですよ。「見てもらいたい人に見てもらう」という場にもしてもらえたらいいなと考えています。

　－沖縄で活動する芸人が東京の賞レースに挑戦する上での難しさはどのあたりにありますか？

　沖縄でウケるネタが東京ではウケない、ということがあります。例えば、沖縄では米軍基地に関係することを笑いにできるんですが、同じネタを東京でやったら、タブーなことに触れた雰囲気で全くウケないんですよね。沖縄出身である相方の積が、ネタの中で僕に「お前の地元の福岡に普天間基地移設するぞー！」とか言っても、沖縄県外の人は「これって笑っていい話なの？」となりますよね。なので、全く別物ですよね。テンポとかも変えないといけないですし。

　－第10回の浦添ウインドゥ寄席の見どころを教えてください。

　空馬良樹が初めて出ます！　今まで観劇に来たことがない人もぜひ来てほしいです。まず一回来ていただければ。切に願っています。

 

日時:9月29日(日) 16:15開場/16:30開演
会場:壺屋演劇場かさね
料金:1500円（中学生以下500円）
出演:浦添ウインドゥ、ハナフラワー、TOKU、カシスオレンジ、たろう、空馬良樹