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[社説]衆院選10月27日投票 「党利党略」で筋通らず

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月1日 4時0分

 野党との論戦を通じ審判材料を示すことが新首相の役割-とした発言は何だったのか。これでは言行不一致のそしりを免れない。

 自民党の石破茂総裁が衆院選を10月27日に行うと表明した。15日公示となる。

 1日に臨時国会を召集し、所信表明と代表質問の後、党首討論か衆参両院の予算委員会を行い、9日に衆院を解散する方針を示している。

 解散時期について石破氏は総裁選の候補者討論会で「本当のやりとりは予算委員会だと思う」とし、議論の機会を確保する必要性を強調していた。

 小泉進次郎氏が主張する、できるだけ早い解散を批判したものだった。わずか2週間前の発言である。

 首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短だ。石破氏は前言を翻したことになり批判されても仕方ない。

 仮に予算委が開催されたとしても、この日程では論戦に十分な時間をかけることは難しい。国内外に課題が山積する中、納得いかない判断だ。

 自民党内には新政権が野党の追及を受けることを懸念し、早期解散への期待が当初からあった。解散表明は周囲の声に押された形だ。

 党利党略を優先した衆院解散について石破氏は、かねて批判的な見解を示していた。それなのにこの結果では、総裁としての資質も問われる。

 しかも首相就任前の解散表明は異例のことだ。指名が確実だからといって首相就任前の表明が許されるのか。

■    ■

 自民政権下では総裁選という「疑似政権交代」の効果を期待した解散が続いている。

 岸田文雄首相は3年前、就任と同時に表明した。所信表明演説の後、代表質問を終えるとすぐさま衆院を解散。トップの交代で支持率が回復し、与党が勝利した経緯がある。

 当時は衆院の任期満了が約2週間後に迫っていたという事情もあり、解散から投開票までの日数は戦後最短の17日間だった。

 それに対して今回は約1年の任期が残っている。

 旧優生保護法の違憲判決を受けた被害補償に関わる新法や、長崎の「被爆体験者」の救済など審議・成立を急がなければならない法案がいくつも控えている。

 そうした中、大義の乏しい解散が国民の理解を得られるのか疑問だ。

■    ■

 自民派閥の裏金事件も真相が解明されたとは言い難い。事件に関わった議員のうち多くが国会の政治倫理審査会での弁明を拒むなど、説明責任が果たされたとは言えない。

 能登半島災害への対応についても審議を尽くさなければならない。復旧・復興に向けた予算措置も急ぐべきだ。

 総裁選では選択的夫婦別姓や政策活動費廃止の問題について各候補者の意見は割れていた。

 国会での論戦を通じて有権者に審判材料を提示する必要がある。

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