[社説]石破内閣発足 首相は審判材料を示せ
沖縄タイムス+プラス / 2024年10月2日 4時0分
自民党の石破茂総裁が第102代首相に指名され、新内閣が発足した。
13人を初入閣させて新しさを演出した一方、林芳正官房長官や加藤勝信財務相を起用して安定感にも留意した。
しかし内実は総裁選の論功行賞の側面が色濃い。決選投票で支援を受けた首相経験者らの意向も強くにじみ出る人事となった。
女性閣僚も2人で、直近の第2次岸田再改造内閣の5人から減るなど刷新イメージとは程遠い。
結局は旧派閥のバランスを重視した人事から脱却できていないのではないか。高市早苗氏、小林鷹之氏からは執行部人事を固辞され、挙党態勢はかなわず、政権基盤の脆弱(ぜいじゃく)さも浮き彫りにした。
岸田文雄首相が退陣に追い込まれたのは、自民派閥の裏金事件や旧統一教会との関わりなどが招いた自民政治への深刻な不信だった。
石破首相は記者にどんな内閣にしたいかと問われ「逃げない内閣」「実行する内閣」と強調した。
だが「野党と論戦をした上で国民の審判を仰ぐ」とした前言を翻して最短の解散・総選挙日程を首相就任前に表明した。国会論戦から逃げた印象は拭えない。
裏金を受け取りながら政治倫理審査会への出席を拒む73人の議員の説明責任も、早期解散でうやむやにしてしまうのか。議員らにどう説明責任を果たさせるのか。総裁として明確にすべきだ。
■ ■
沖縄関係の閣僚にはおなじみの顔ぶれも並ぶ。
外相の岩屋毅氏は防衛相だった2019年、名護市辺野古の新基地を巡る県民投票で、7割が反対の意思を示したことを受けて「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」と発言して批判を浴びた。
国交相には斉藤鉄夫氏が再任された。辺野古新基地建設を巡って、代執行の強権を振るい設計変更申請を承認した当事者である。
防衛相は中谷元氏の再登板となった。かつて在沖米軍基地について「九州にも分散できるが県外での抵抗が大きい」と発言。米軍基地の自衛隊との共同使用について安倍晋三政権時代に提案した経緯もある。
沖縄の基地問題に携わった経験のある布陣だ。実効性ある基地負担軽減策や、石破首相が言及した日米地位協定の改定を着実に進めてもらいたい。
■ ■
石破首相は会見で「五つの守る」を掲げた。その第一を「ルールを守る」とし、不断の姿勢で政治改革を進めるとした。
それであれば最優先すべきは裏金や旧統一教会問題の実態解明に向けた再調査と徹底した説明であろう。
石破氏を巡っては以前「核の共有や持ち込み」を具体的に検討すべきだと主張した、米国の保守系シンクタンクへの寄稿も波紋を広げている。
石破内閣は今後どういう政策を取っていくのか。首相は所信表明演説と国会質疑を通して、国民に審判材料を提示するべきだ。
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