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[社説]裏金議員の公認 納得も共感も得られぬ

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月8日 4時0分

 石破茂首相の所信表明演説に対する各党代表質問が始まった。

 前言を翻し、早期解散を決めた一方、所信表明ではアジア版NATO創設や日米地位協定の改定に触れないなど、この間の石破首相の発言は後退している。

 これに対し野党は「言行不一致」「自民党を変える前にご自身が変わってしまった」と追及した。

 とりわけ自民党派閥裏金事件の対応はぶれている。

 石破首相は代表質問の前日、政治資金収支報告書に不記載があった裏金議員を衆院選で公認するかどうかの考え方を発表した。

 4月の党処分を基準に下村博文氏ら旧安倍派幹部や、国会の政治倫理審査会に出席しなかった萩生田光一氏ら少なくとも6人を非公認とする方針を示した。

 その他の40人程度は地元の理解を条件に判断し、公認しても比例代表への重複立候補を認めない。

 総裁選に立候補した際の「公認にふさわしいか、徹底的に議論すべきだ」という厳しい姿勢から、直後に「新体制が決めること」と軌道修正した。総裁就任後には、原則公認する案を検討してきた。

 各社の世論調査で内閣支持率が50%前後と発足当初としては低く、冷めた目を感じ取ったのではないか。

 衆院選を控え、世論を意識するのは無理もない。説明責任を果たしていない議員を公認すれば、党の姿勢を問われるからだ。

 だが、発言が二転三転するようでは、政治改革への意欲どころか、首相としての資質にも疑問符が付く。

■    ■

 石破首相は裏金事件の再調査についても、検察の捜査や弁護士の聞き取りなど「事実関係の把握、解明を進めてきた」と強調し、否定的な見解を示した。

 自民党の処分は、不記載額500万円以上の議員が中心だ。それ未満の不記載ではほとんどが処分の対象になっていない。

 不記載だけでも違法行為であり、さらに「脱税」との指摘もある。金額の過多で公認、非公認を決めるのでは、納得も共感も得られるはずがない。

 裏金事件では、誰がいつ始め、なぜ必要だったのかなど経緯も明らかになっていないのである。

 国民の政治不信を払拭するには再調査のほか、政策活動費や調査研究広報滞在費の見直し、企業献金の完全禁止など、「政治とカネ」の課題に抜本的に取り組む姿勢が求められる。

■    ■

 選択的夫婦別姓、マイナ保険証と現行の健康保険証との併用、金融所得課税の強化でも石破首相は慎重な発言に終始した。

 解決が難しいからこそ断固たる決意を示すべきではないか。そこが見えてこない。

 非公認の方針を受け、党内では旧安倍派などから反発の声が上がる。だからといって党内融和を優先すれば、国民の不信はますます高まる。

 8日の参院代表質問、9日の党首討論と続く。

 衆院選を前に、石破首相は国民の判断材料となる説明を尽くすべきである。

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