「もう驚かない」自信が崩れた森の異物 沖縄の世界自然遺産にトイレ残骸 周囲に散らばる袋や食器 米軍の北部訓練場返還跡地

米軍北部訓練場のLZ―1ヘリパッド跡地で見つかった仮設トイレ。宮城秋乃さんによると「米軍の訓練で使われた可能性が高い」という＝13日午後、国頭村安田

［現場で思う 秋の新聞週間］（上）

　もうどんなものが出てきても驚かない。それくらい現場を踏んだつもりだった。

　国頭村安田の米軍北部訓練場の返還跡地。自信はすぐに崩れた。やぶをかき分けて進むと、ヘリパッドの跡地から数十メートルの斜面に大型の物体－。仮設トイレの残骸だった。地面には設置用の土台、周囲は野戦食の袋や食器が散らかっている。全て米軍が残したとみられる廃棄物だ。

　13日午後、チョウ類研究者の宮城秋乃さん（46）＝東村＝の米軍廃棄物調査に同行した。同行取材は11回目。「米軍の訓練でこのトイレを見たことがある」。宮城さんによると、返還前は野営訓練が行われていたという。

　ここは世界自然遺産の登録地。2017年に国が支障除去（廃棄物撤去）を完了したとする場所だ。「支障除去って一体何だったんでしょうね」と宮城さん。やんばるの森の異物に、記者にも怒りが込み上がる。（社会部・塩入雄一郎）