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[社説][2024 衆院選]物価高対策 所得向上の道筋を示せ

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月18日 4時0分

 長引く物価高が県民の暮らしを圧迫している。

 円安や燃料高騰を受け、石破茂首相は「物価に負けない賃上げ」を掲げるが、実現には程遠いと言わざるを得ない。

 全国では8月、実質賃金が約3カ月ぶりに減少へ転じた。止まらぬ物価高に賃上げ効果も薄れている。

 県内ではさらに深刻だ。実質賃金は前年比マイナスが3年間続く。2020年を100とした実質賃金指数は今年7月に88となり減少の一途をたどっている。

 背景には他県に比べても割高に推移する物価と、中小零細企業で賃上げが進まないことなどがある。

 中でも価格変動の大きいのが食料品だ。

 物価水準の地域間の差を表す「消費者物価地域差指数」の費目別で、沖縄は「食料」が21年から全国1位となっている。

 それまで高かった福井や東京を抜いた。

 島しょ県の県内では、食料品の調達にもともと物流コストがかかる。それが折からの燃料高騰で、より色濃く影響を受けた形だ。

 子どもの貧困対策として県が子育て世帯に毎年実施している調査で、経済的負担が大きいものを複数回答で尋ねたところ「食費」が78.7%と最も多くなった。

 「おやつなど子どもの食事を減らした」との悲痛な声もあった。

■    ■

 大企業を中心に賃上げが進む全国との差は広がるばかりだ。

 主にアルバイトなど非正規雇用に適用される最低賃金は本年度、前年比56円増の952円となり、引き上げ額は3年連続で過去最大となった。それでも他県に比べれば低い。

 県労連の試算では那覇市在住の女性が生活するために必要な時給は1662円だった。

 賃上げ効果を広く行き渡らせるためには、さらなる引き上げが欠かせない。

 県内ではフルタイムなど正規雇用でも賃上げが進んでいない。

 従業員5人以上の事業所の給与は直近7月、前年同月比から6.3%減少した。

 全国的な賃上げにもかかわらず県内では低迷している。

 中小零細企業で価格転嫁が進まないことなどが背景にあり、こうした企業からは「賃上げの負担に耐えられない」との声も上がる。

■    ■

 物価高対策については各党とも公約に掲げている。

 自民、公明の与党は低所得者世帯への給付金や、補助金でガソリン、電気・ガス料金を抑制する政策をうたう。

 これに対し立憲民主、日本維新の会、共産など野党は消費税減税や、給付付き税額控除などの減税策を中心に訴えている。

 ただ、どちらも対症療法なら県民の生活不安を払拭できない。

 全国的な施策と同時に、県民所得を全国並みに引き上げる道筋も示すべきだ。

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