[社説][2024 衆院選]政治とカネ 改革実行へ覚悟を示せ
沖縄タイムス+プラス / 2024年10月21日 4時0分
衆院選最大の争点は、何といっても「政治とカネ」の問題だ。
共同通信の世論調査で投票先を決める際、自民党派閥の裏金事件を「考慮する」「ある程度考慮する」と回答したのは、計65%に上った。
裏金事件をきっかけとして、議員の金の集め方や不透明な使途に国民の不信が高まっている。
問われるのは改革の実行力だ。
自民は総裁直属の「政治改革本部」を中心に不断の改革を進めることを公約に掲げた。
だが、石破茂首相は解散直前の党首討論で政策活動費について、衆院選で「使うことはある」と答えたのである。その後「選挙においては使わない」と修正したものの発言が定まらない。
党が幹部に支給する政策活動費は使途の公開義務がなく「ブラックボックス」だ。先の通常国会で成立した改正政治資金規正法でも領収書の公開を「10年後」とするなど不透明さが温存された。
立憲民主、日本維新の会、共産などの野党各党に加え、公明も廃止を訴える。
これに対し、自民は「将来的な廃止も念頭」に透明性を確保するとの主張で煮え切らない。
「抜け道」を残しておきたいという気持ちの表れではないのか。自民は政治改革への覚悟を示すべきだ。
■ ■
企業・団体献金の扱いを巡っても意見は分かれる。
野党の多くが廃止とした。一方、自民は公約で触れていない。
「政治とカネ」の問題はこれまでも繰り返されてきた。大規模な贈収賄に発展したリクルート事件以降にも政治改革が声高に叫ばれた。1994年に政治資金規正法が改正され、政治家個人への企業・団体献金が禁止に。その代わりに政党交付金が導入された経緯がある。
しかし、派閥パーティーで集められた献金が「裏金化」した。結局は抜け道があったと言わざるを得ない。
政党交付金の原資は税金である。このまま企業・団体献金を続ければ、交付金との「二重取り」と言われても仕方がない。
94年の法改正では付則で企業・団体献金を「5年後に禁止」と記したがほごにされた。30年前積み残した課題に取り組む時だ。
■ ■
政治の信頼を回復するには、きっかけとなった裏金事件の総括も必要だ。
石破首相は今回、関係した前議員12人を非公認とし、34人は比例代表への重複立候補を認めなかった。
それで十分な反省を示したと言えるのか。候補者の中には裏金事件を政治資金収支報告書への「不記載」問題と矮小(わいしょう)化する動きもある。そうした認識のままでは、選挙が終われば元のもくあみだ。
今度こそ金権体質と決別する仕組みをつくれるか。有権者の判断も問われている。
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