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沖縄のオタクカルチャー発信地が6周年 「SOUNDSGOOD」 ライブハウスには珍しい「白い壁」にした深い理由

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月21日 11時0分

SOUNDSGOODの店長・健兄=9月6日、那覇市の同店

 那覇市・沖映通り沿いのライブ&コミュニティスペース「SOUNDSGOOD(サウンズグッド)」が、9月15日で6周年を迎えた。バンドやDJ、お笑いなど多彩なイベントで使用される中、アニソン系やコスプレ系などのイベント開催数は県内随一で、いわゆる「オタクカルチャー」の発信地的な役割を果たし、存在感を示してきた。そんなSOUNDSGOODの店長である健兄(けんにい、本名:饒平名健次さん)に、これまでの6年間を振り返ってもらいながら、今後の展望を語ってもらった。

コスプレイベントに長蛇の列

 9月7日。SOUNDSGOODの地下入口へと続く長蛇の列。この日は、アニメのキャラクターやVTuberのコスプレをして踊るイベント「Glanz=Live」が開催されていた。このようなカルチャーは「コスプレで踊ってみた」というジャンルとして確立されており、動画をネットに投稿する人も多い。このイベントは発売当日にチケット80枚が完売した人気イベントで、今回で8回目を迎える。超満員の大歓声。観客の中には、最前列で見るために開場の3時間以上前から並んでいる人もいるという。

 その他にも、アイドルライブやアニソンDJイベントなども含め、多様なイベントを積極的に行ったり、場を提供したりしてきた。

決意の1行「人と人、人と夢をつなげるぜ」

 「あっという間でしたね。気付いたらもう6年です」と話す健兄。店内の白い内壁には、こんな文字がでかでかと書かれている。

 「2018年9月15日 SOUNDSGOODオープン 人と人、人と夢をつなげるぜ」

 これが健兄の基本姿勢であり、覚悟だ。「自分の頑張りもあるかもしれないですけど、やっぱり支えてくれている出演者のみなさんとお客さんとスタッフのおかげです」。初めての経営で手探り状態、最初の3カ月で貯金が底を付いたところでどんどん予約が入って黒字化し、コロナ禍に突入して世の中がライブから離れても、今こうやって出演者やお客さんが戻ってきてくれている。「みんなに支えられて6年を迎えられています」とつぶやくように話した。

 ライブハウスには珍しい、白い壁にも意味がある。「『ライブハウスって怖そう』っていうのを壊したいんですよ」。明るくて安らげるイメージ。漫画やボードゲームも置いているし、自由に食べていいスナック菓子まである。

 どこでも未知の場所に行くのは不安だ。特に、防音性の問題や非日常感の演出などで外の世界とある意味で遮断されているライブハウスは、行ったことのない人からしてみれば、一歩目を踏み出すことに多少勇気の要る場所かもしれない。「他のライブハウスに行く時に、地下への階段を下りたり、重いドアを開けたりするのが怖くないように」という思いがある。

 「SOUNDSGOODでライブハウスに初めて行けて、それがきっかけでステージに上がったり、スタッフとして働いたりって人が出てくるとうれしいですし、ホームに感じてもらえると温かい気持ちになります。その人の言葉や夢に対して『いいね!(Sounds good!)』って言ってあげたいんですよ」

 こうやってライブハウスの文化に触れた人が主催して大盛況イベントに発展したのが、前述のイベント「Glanz=Live」だ。

「SOUNDSGOODがなければ…」

 「Glanz=Live」の主催者であるきらりんさん。SOUNDSGOODを「2つ目の家」と呼ぶほど、自らの居場所として感じている。主催者としての顔だけではなく、自らもVTuberのコスプレで堂々たるステージを披露した。中学時代からダンスを始めて、人前に立つ活動を行ってきたというが「SOUNDSGOODがなければ続けていなかったと思います。不安になることがあってもみんなが優しく支えてくれます」と言い切る。

 きらりんさんがかつてそうだったように、このイベントで初めてのステージに立つという人も多い。出演者は10代後半から20代前半の若い層が多い。「初めての人でも出やすいライブにしていきたいです」と、健兄と同じ目標を口にした。

那覇に系列店をオープンする狙い

 9月22日に行われた6周年記念のトークイベントでは、系列店としてコンセプトカフェ(さまざまなコンセプトで差別化を図ったカフェ。メイドカフェなど)を那覇市久茂地にことしオープンすることも健兄の口から発表された。店名は「ちゅらねお」。経営戦略としてこのような考えがあったからだ。「ライブが午後10時や11時に終わって、気持ちが盛り上がったままもう一軒行きたい気持ちになる人も多いです。そんな時にオタク系イベントのお客さんはコンカフェに流れる傾向があるので、自分でお店も持てたら」と、ライブ後の2次会的な役割も果たせる店も作り、沖縄のオタクカルチャーを別の角度からも盛り上げていく。
 

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