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[社説][2024 衆院選]多様性の尊重 権利保障進める議論を

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月22日 4時0分

 どんな人生を生きても、どんな家族の形を選んでも「個人の尊厳」や「両性の平等」が保障されなければならない。ジェンダー平等への取り組みで特に関心を集めているのが「選択的夫婦別姓」導入の是非だ。

 スイス・ジュネーブで開かれた国連の女性差別撤廃委員会で、夫婦別姓導入を巡り日本政府への厳しい指摘があった。夫婦の9割以上が夫の姓を選ぶ現状について、委員の一人は「社会の圧力」とまで言及した。

 夫婦同姓を義務付ける制度を採用している国は日本だけとされる。1996年に法制審議会が選択的夫婦別姓を答申したが、たなざらしのままだ。

 2021年、最高裁は夫婦別姓を認めない民法などの規定は「合憲」だと判断。その上で「国会で議論すべき」だとして、立法府にボールを投げ返した。

 今回の衆院選の各党公約を見ると、立民や共産などの主要野党は「早期実現」など導入に賛成の立場。公明も積極推進の立場をとる。一方で自民は運用上の課題を整理するなどとして慎重な姿勢を崩していない。

 各分野で女性の活躍が目覚ましい時代だ。経団連は6月、結婚後の女性が通称として旧姓を使うことは「海外で理解されづらい」などとして、夫婦別姓制度の早期実現を提言した。

 世界に目を向ければ、当然の動きである。

■    ■

 多様性尊重の流れの中で「同性婚導入」の是非も論点となっている。

 同性婚の実現を目指すNPO法人「EMA日本」(東京)によると、01年のオランダを皮切りに欧米などで法制化が進み、アジアでは19年に台湾が初めて導入した。現在、37の国や地域で認められており、来年1月にはタイでも施行される。

 だが先進7カ国の中で日本だけが、異性婚と同等の権利を認めるパートナーシップ制度を含めた国レベルの制度をいまだに持っていない。

 半面、全国の自治体では同制度の導入が急速に進み、すでに400以上の自治体で導入済みだ。県内では那覇市と浦添市で施行され、県も導入の方針を示している。

 同性婚について、自民は公約の中で特に触れていない。一方で主要野党は賛成の立場を示しており、与野党の対立軸は明確である。

■    ■

 今年3月、札幌高裁は同性婚を認めない民法などの規定は違憲だと判断した。「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と婚姻の自由を定めた憲法24条1項が、異性間だけでなく同性間の婚姻も保障していると初めて示したのだ。

 各種世論調査でも、夫婦別姓や同性婚に「賛成」が7割以上と、社会の意識は変わってきている。政府や国会はこれらの問題と真剣に向き合わねばならない。

 全ての人が安心して暮らせる社会をつくるには何が必要なのか。有権者一人一人が将来を見据えてしっかり選択できるよう、活発な議論を展開してほしい。

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