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[社説][2024 衆院選]沖縄振興 「所得格差」なぜ縮まぬ

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月24日 4時0分

 「いまだ全国最下位の1人当たり県民所得などの課題が存在する。沖縄振興の経済効果は十分に域内に波及しているのだろうか」

 石破茂首相は今月4日、就任後初の所信表明演説で、沖縄経済についてこう語った。

 首相の自問自答のような言葉は、これまでの政策を反省しているように聞こえた。

 ではどのように経済効果を波及させるのか。沖縄振興を巡っては半世紀以上続く制度の在り方を含め、議論すべき課題は多い。

 2021年度の1人当たり県民所得は225万8千円。全国最下位である。

 復帰の際、沖縄振興開発特別措置法に基づき策定された沖縄振興開発計画の最大の目標は「本土との格差是正」だった。

 現在は6次振計に当たる「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の3年目。しかし格差の代名詞とされる1人当たり県民所得はいまだに全国の7割水準にとどまっている。

 米軍統治下で製造業が育たなかったことや島しょ経済の不利性を抱えていること、第3次産業に偏る産業構造や労働生産性の低さ、中小零細企業や非正規雇用の多さなどが要因に挙げられる。人口に占める年少者割合の高さも影響しているとされる。

 過去の振計のどこに問題があり、なぜ所得格差が縮まらなかったのか。きちんとした検証が必要だ。

■    ■

 沖縄振興は本来なら、格差是正の処方箋であるべきだ。ところが今、状況は別の方向に動いている。

 政府は今年4月、那覇空港と石垣港を「特定利用空港・港湾」に指定した。防衛力強化の一環として有事の際に自衛隊などの使用を想定し整備するものだ。

 日米地位協定により米軍の利用も可能となるその整備費は、内閣府の沖縄関係予算に組み込まれるという。

 空港・港湾の軍民両用化と沖縄振興の目的は相いれない。沖縄関係予算の減額が続く一方で「予算の軍事化」が進むことにもなる。県民が求める基地の負担軽減にも逆行する。

 沖縄選挙区に立候補した16人には、沖縄振興の趣旨に本当に反しないのか、その点についても考えを示してもらいたい。

■    ■

 基地受け入れの見返りとして振興策が前面にせり出すようになったのは、普天間問題が浮上してからだ。

 新基地建設反対を掲げ政府と対峙(たいじ)した翁長雄志知事、玉城デニー知事の下で予算は目に見えて減ってきた。

 基地と振興のリンク論はこれまでも幾度となく繰り返されている。沖縄振興予算が「基地維持装置」となっているとの懸念に対し、責任を持って答えるべきだ。

 予算の一括計上方式、高率補助制度という特有の枠組みについても、例外とすることなく議論を交わさなければならない。

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