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[社説]最高裁国民審査 憲法の番人をチェック

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月26日 4時0分

 辞めさせた方がよいと思う裁判官に「×」印を付ける国民審査が衆院選に合わせて、あす27日実施される。

 最高裁の裁判官が「憲法の番人」にふさわしいかどうかを有権者がチェックする、国民主権の観点からも重要な意義を持つ制度である。衆院選同様、積極的に意思を示したい。

 最高裁裁判官は、長官1人と判事14人の計15人で構成される。

 憲法79条に基づき、裁判官任命後最初の衆院選で審査を受け、その後10年を経た衆院選時に再審査される。

 今回、対象となるのは2021年の前回衆院選後に任命された尾島明、宮川美津子、今崎幸彦、平木正洋、石兼公博、中村慎の6氏。

 では、何を基準に評価すればよいのか。

 参考になるのは県選挙管理委員会が発行する審査公報や、報道機関の記事などである。裁判官が示した個別意見にも注目したい。

 審査公報は各世帯に配布され、6人の略歴や関わった主な裁判のほか、裁判官としての心構えが記されている。

 本紙も16、22日の紙面で多様化への向き合い方などのアンケート結果、沖縄関連訴訟での判断を掲載した。 

 最高裁は人権を守る「最後の砦(とりで)」といわれる。法律が憲法に違反していないかどうかを最終的にチェックする強力な権限を持つ。

 しかし本当に「憲法の番人」として「最後の砦」の役割を果たしているのか。司法への評価を示すため、大切な1票を投じたい。

■    ■

 対象となる6人のうち、沖縄関係の裁判には2人が関わっている。

 宮川氏は、辺野古新基地建設に関する国の代執行訴訟と、大浦湾のサンゴ特別採捕許可を巡る訴訟で、県の上告を不受理とした。

 尾島氏は、東村高江の米軍ヘリパッド建設に愛知県警が機動隊を派遣したのは違法と訴えた住民訴訟で、派遣決定を違法と認めた二審判決を支持し、県側の上告を棄却した。

 前回21年の国民審査で、辞めさせたいと「×」を付けた罷免要求率は、沖縄県が全国平均の2倍を超える14.8%で最も高かった。

 辺野古訴訟への対応が、一つの判断材料になったとみられる。

 県内では、1996年、代理署名訴訟で大田昌秀知事が敗訴した直後の国民審査で罷免要求率が30%を超えたことがある。

■    ■

 投票は辞めさせたい裁判官の氏名の欄に「×」を書き込む方式だ。何も書かなければ「信任」と見なされる。

 気を付けたいのは「×」以外の記号や文字を書くと投票そのものが無効になることだ。

 「×」が有効投票の過半数となった裁判官は罷免されるが、過去25回の審査で罷免は一件もない。

 形骸化や仕組みの問題が言われて久しい。内閣が任命する裁判官任命手続きの透明化も叫ばれている。

 制度の在り方にもきちんと向き合う必要がある。

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