1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

1990年代のコミックにこだわり 那覇市泊の古書ラテラ舎

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月27日 13時0分

パン屋やカレー店、病院などが並ぶ通り沿いにある古書ラテラ舎=那覇市泊

古書ラテラ舎(那覇市泊)

 小学校に病院、ぜんざい屋にパン屋などが立ち並ぶ那覇市泊の通り沿いに、かつて街中にあったレコード店のような店構えの古書店がある。古書ラテラ舎は、2021年に店主の筒井陽一さんが開いた。9年前に転勤で沖縄にやってきた筒井さんは、久茂地のリブロリウボウブックセンター店で店長として5年間勤めた。古書市の取引先だった古書店の店主たちとの交流がきっかけとなり、自身も古書の世界に飛び込んだ。

 店内には、県外に移転する古書店から譲り受けた木製の温かみのある棚が並ぶ。打ちっ放しのコンクリートの壁と高い天井が印象的だ。沖縄関連の本から映画や音楽などのカルチャー、児童書、そして筒井さんおすすめの魚喃キリコらのコミック本もそろえる。

 晴れた日には店の前に100円圴一本が並ぶ。「まだ紙が大切にされている。新刊書店でも売り上げの2割ぐらいは沖縄関係だった。地域のものがこれだけ売れる環境は他にはない」。長く書店で勤めてきたからこそ、古書店に魅力を感じている。

 商業、文教地区である泊は、 人の動きが活発な場所でもある。筒井さんが販売と並んで大事にしているのが買い取りだ。「新刊書店のように版元があり、取次、小売があるという流れではない。だからこそ仕入れ先となると、お客さんからの買い取りか業者同士の競り市になるので、やっぱり買い取りがまず大事」。そんな話をしていると、この日も飛び込みで買い取りの来客があった。持ち込まれる本は状態や内容も良く、大事にされているものが多いという。

 開店3年を前に筒井さんは「入ってくる本の面白さや、お客さんとのつながりや出会い、全てが代替不可なので一つ一つにかける力が大きい」と語る。とはいえ、全て買い切り商品ということにオープン前は不安もあった。試行錯誤しながら3年続けてみて、価格や価値、売り方を自分で判断したり工夫次第で商品が動いたりすることに手応えを感じている。

 筒井さんが古書店を続ける上で大事にしているのは「ページをめくると一人の時間になり、その時間を豊かに過ごせるような空間にすること」。

 県内客のみならず、旅行者が訪れることもある。「懐かしさもあって置いている商品に共感してもらえたらうれしいなというのはもちろんある。奥の方の1990年代のコミックコーナーから、自分よりも相当若い世代の子たちが買ってくれるのはすごくうれしい」。カルチャーのジャンルはこだわりの棚でもあるため、在庫は切らさないようにしている。

 店内とバックヤード合わせて10坪の空間をうまく使い、棚の本も入れ替えながら、均一本も日々手をかけることを意識している。「本屋で本を探す魅力は、予期しない発見ができること。ふらっと立ち寄って何か面白いものがあるかもと思ってもらえる店でありたいし、お客さんに新しい発見を提供する努力は続けていきたい」と筒井さん。

  久茂地ブックスクエアは「古書店一同の危機感と決意表明でもある。久茂地1−1−1の書店はなくなったが、久茂地2−2−2でやるよという気持ち。これだけの店舗が一堂に会して販売するのは年間通じてなかなかないので、にぎやかな2日間になったらうれしい」と話す。

 メディアが集まる久茂地での開催を意識して、おすすめの一冊には、NHK出版の2001年発行「20世紀放送史」3巻セットを選んだ。「ラジオから始まってテレビの時代、ネットの時代、さらにその先へ。この100年の放送史が網羅的に年表的にまとめられている貴重な資料だ」

書店情報
古書ラテラ舎
住所:那覇市泊1-20-14
店長:筒井陽一
営業時間:午前11時から午後7時
電話:098-955-1590
Instagram:@laterrabooks
定休日:火・水曜

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください