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[社説]米兵性暴力に初勧告 加害者不処罰の終焉を

沖縄タイムス+プラス / 2024年10月31日 4時0分

 沖縄の女性たちの訴えが国際社会に届いた。今度こそ加害者不処罰の仕組みを終わらせなければならない。

 各国の女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会が「最終見解」を公表した。

 今回は日本、カナダ、チリ、サウジアラビアなどが対象。

 日本に関しては前回2016年の勧告以降、結婚年齢の男女格差の解消や、女性の再婚禁止期間廃止を実現する法改正などが評価された。一方、幅広い分野への勧告が出た。

 その中で今回初めて委員会は、在沖米軍基地に由来する女性や少女への性暴力について「沖縄の女性や少女に対する性的暴力などを防止・調査・訴追し、加害者を適切に処罰し、被害者に適切な補償を提供するための措置を講じること」を勧告した。

 日米地位協定を念頭に「締約国の領土に影響を与える2国間軍事協定の交渉のあらゆる段階で女性の有意義かつ包括的な参加」も求めている。

 米軍基地が集中する県内では米兵による性犯罪が相次いでいる。

 そうした中で日米地位協定は捜査の壁となり、多くの事件が不問にされた経緯がある。

 過去には殺人で有罪となった米軍属の被告が「沖縄では女性を襲っても訴えられないと基地内で聞いた」とも証言した。

 加害者を不処罰とする仕組みが、次の暴力を生み出した可能性がある。

■    ■

 勧告の背景には県内の5団体がスイス・ジュネーブで、委員会に対し直接訴えたことがあった。訴えを受け日本政府側との対面審査では委員2人が直接対応をただす場面もあった。

 米兵による性暴力の根絶と被害者の人権回復を、沖縄の女性たちはこれまでも国際社会に訴えてきた。

 1995年には北京で開かれた国連の第4回世界女性会議(北京会議)に参加し、県内の被害の実態をパネルで展示するなどした。

 委員会では2009年と16年に演説や情報提供、傍聴参加。今回の初勧告はこうした女性たちの、世代を超えた粘り強い訴えが結実したものといえよう。

 勧告に法的拘束力はない。ただ、批准国の日本は理念の実現に向け尊重することが求められている。

 政府は勧告を重く受け止めるべきだ。

■    ■

 日本からは今回、沖縄以外にも40を超えるNGOが出席し、さまざまな分野での女性差別を訴えた。

 委員会の勧告は選択的夫婦別姓や、人工妊娠中絶時の配偶者の同意要件削除、女性が国会議員に立候補する際の供託金300万円の減額、男系男子に皇位継承を限る皇室典範の改正-など数十項目に上る。

 こうした差別の背景にあるのが「家父長制」だ。男性に特権的な地位を与える慣習が法や制度の隅々に影響を及ぼしている。

 真に平等な社会の実現に向け、勧告の確実な取り組みが求められる。 

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