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[社説]北部豪雨「初動」遅れ 県は猛省し対応検証を

沖縄タイムス+プラス / 2024年11月14日 4時0分

 沖縄本島北部を襲った記録的大雨で、被災自治体への「災害救助法」の適用が困難になっている。県の対応遅れにより、災害発生中に被害の「恐れ」を根拠にした適用ができなくなったためだ。

 適用は県の判断。適用されれば、避難所の設置や生活必需品の支給、臨時の仮設住宅から住宅の応急的な修理まで幅広い被災者支援に国費が充てられる。

 昨年8月の台風6号では34市町村が対象となり、計1836万円が国と県から支出された。

 今回、適用されなければ住民は最大約70万円の応急修理費用の支給が受けられなくなるほか、適用を基準とした民間支援の対象外となる恐れもある。

 県は国頭に大雨警報が出た時点で、北部地方災害対策本部を立ち上げ気象庁などと連絡を取っていた。それにもかかわらず判断が遅れたのはなぜか。

 同時期に大雨特別警報が出た与論町は鹿児島県が災害発生中に適用を決めた。

 玉城デニー知事は、内閣府から鹿児島と沖縄の両県に適用助言の連絡があったとする。沖縄側は防災担当とは別の課を連絡窓口としていたため、職員不在で未明の連絡を受けることができず、適用が遅れたとの認識を示した。今後は窓口を防災担当の部署に一本化するという。

 しかし、そもそも災害救助法の適用は「法定受託事務」だ。判断ミスとの批判は免れず、県には猛省を求めたい。

■    ■

 災害救助法が県内で初めて適用されたのは復帰前の1960年でこれは琉球政府による。その後、これまで27件の災害に適用されてきた。最多は台風の20件。一方、降雨や土砂災害への適用は2006年の1件だけだった。

 今回は11月の線状降水帯発生というまれな現象で、被害が見通せなかった可能性がある。

 だが災害救助法の目的はいち早く被災者を支援することにあり、早い段階での適用が求められる。災害は激甚化しており、県の適用の在り方を根本から見直すべきだ。

 今回被災した地域では、住宅浸水による生活必需品の不足や建物の一部倒壊など住民生活に大きな影響が出ている。

 仮に災害救助法が適用できなくても、被災者にしわ寄せが来ることのないよう県と国が協力して公的な支援を届けるべきだ。

■    ■

 記録的な大雨で氾濫した国頭村の比地川については、以前から氾濫しやすい状況として住民らが浚渫(しゅんせつ)工事などの対応を度々要請していたことも判明した。

 県は氾濫のあった河川の浚渫を順次実施してきたというが、妥当な判断だったのか。

 PFAS(ピーファス)を含んだ泡消火剤漏出事故の公表遅れや、補助金申請漏れなど昨年から県のミスが相次いでいる。

 頻発するミスの背景まで踏み込んだ検証が求められる。常に想定外を考えるなど、県の災害対応を一から見直す必要がある。

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