[社説]辺野古崎土砂投入 まず強硬姿勢を改めよ
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月15日 4時0分
新基地建設を巡り、沖縄防衛局は新たに辺野古崎沿岸海域で埋め立てを開始した。昨年12月の国による「代執行」後、新たな区域への土砂投入は初めてだ。
着工したのは、埋め立てがほぼ完了した辺野古側と軟弱地盤が見つかった大浦湾側に挟まれる約1万6千平方メートルの区域。この場所は航空機に弾薬を搭載したり降ろしたりするエリアとなる。現行の普天間飛行場にはない新たな機能である。
埋め立てが終われば、辺野古側に仮置きしている土砂を大浦湾側に運びやすくなり、工事が加速する見通しだ。
衆院選で自民、公明両党が大敗を喫したにもかかわらず、工事は着々と進む。 少数与党下で、幅広い合意の政治を目指す中、なぜ強行するのか。
石破茂首相は9月に、那覇市で開かれた自民党総裁選の演説会で、沖縄への負担を深くわびるとともに、新基地建設について次のように語った。
「十分に沖縄の理解を得て決めたかといえば、必ずしもそうではなかった」
今月12日には、首相官邸を訪ねた宜野湾市の佐喜真淳市長と面談。佐喜真氏は、普天間飛行場の返還期日の確定や所属機の段階的移駐などを要請した。
普天間の一日も早い危険性の除去、負担軽減は、県も同じスタンスである。
首相として深くわびるのであれば、一日も早く玉城デニー知事に会い、さらにはこれら問題について具体的に話し合う「沖縄政策協議会」を開くべきである。
■ ■
県と政府による沖縄政策協議会は、当時の橋本龍太郎首相が大田昌秀知事と会談を重ね、1996年に発足させた。沖縄の過重な基地負担を踏まえ、問題の解決や経済振興に取り組むことが目的だった。
2013年、仲井真弘多知事が安倍晋三首相に「普天間の5年以内の運用停止」を求めたのも政策協の場だ。その後、5年以内運用停止に向け普天間飛行場負担軽減推進会議も設けられたが、結局、運用停止は実現しなかった。
14年に新基地建設に反対する翁長雄志知事が誕生して以降は、一度も開かれていない。
米国防長官でさえ「世界一危険」と認める飛行場である。
この問題を含めた議論の場として政策協を再始動させ、危険性除去のための目に見える対策を打ち出すべきだ。
■ ■
少数与党下の国会では、野党がまとまれば、基地問題を動かす大きな力となる。
しかし国民民主党が衆院選直前に「いったん停止」としていた公約を覆すなど、辺野古を巡っては必ずしも一枚岩ではない。
ただ完成まで10年以上、約9300億円を要する大型国策プロジェクトだ。
その間、沖縄の負担軽減をどうするのか。県民の反対を押し切って巨額の税金が投じられることをどう考えるのか。
野党の責務として「沖縄の民意を尊重する」議論を深めてもらいたい。
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