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グループ一丸、地域「愛」宣言/すこやかグループ40周年[AD]

沖縄タイムス+プラス / 2024年11月15日 10時0分

宮里敏行氏(左)と宮里早香氏

 

父から娘へ 思いつなぐ

 県内41店舗の調剤薬局を中心に、介護福祉・保育・サロン・IT・ホテル事業を展開する「すこやかグループ」(本社:沖縄市)。2024年7月、創業40年を迎えた同社は「誰もが幸せに暮らす未来に、愛を。」というパーパス(存在意義)を掲げ、新たな一歩を踏み出した。小さな薬局から沖縄を代表するグループ企業にまで育てた創業者の宮里敏行氏(68)と後継者で娘の宮里早香氏(41)にグループの歩みと展望を聞いた。

小さな薬局から始まった営業マンの挑戦

 ―薬局事業をスタートした当時の状況を教えてください。

 敏行氏 日本でもようやく医薬分業の機運が高まっていた頃でした。当時、医薬品卸会社の営業をしていた私に薬局を譲りたいとおっしゃるお客様が現れたのです。1984年、薬剤師を雇い入れ具志川市(現うるま市)で「宮里薬局」を開業しました。その翌年、懇意にしていた小児科の院長からお話を頂き、門前薬局として「すこやか薬局」1号店を開局しました。それから現在まで、県内41箇所に店舗を展開しております。


 中でも初の離島出店となった宮古島は、父の故郷です。幼い頃に両親を亡くした父は、17歳で本島へ出て50歳で生涯を終えました。私自身が50になる年に宮古島で開業できたことに不思議な導きを感じます。

 ―新たなサービスを次々展開してきましたね。

 敏行氏 保険薬局として県内初のドライブスルーやフロアコンシェルジュの配置、全国初の電子マネー導入、薬剤師の訪問サービス、オンライン服薬指導、お薬配送サービスなど、時代に合わせたサービスを提供してきました。業務効率化では、レセプトコンピュータの導入に始まり、自動薬剤ピッキング装置を取り入れるなど、デジタル化にいち早く着手し、利用者に寄り添う時間を増やすための施策を進めて参りました。2008年には「すこやかホールディングス」を設立し、IT・介護福祉・サロン・保育事業にも挑戦しております。

 ―2023年にはホテル事業にも参入しました。

 敏行氏 沖縄市の地域活性化を目的に、県内初のパークP F I制度(※)を活用した「レフ沖縄アリーナbyベッセルホテルズ」を沖縄市に開業しました。地域課題解決に応える形で様々な事業を展開し、ここまで成長できたこと、育ててくださった地域の皆様とのご縁に心から感謝しています。

※)パークP F I制度とは 民間事業者が都市公園内に収益施設を設置し、その利益で公園の維持管理や整備を行う仕組み。これにより、行政の予算に頼らず、公園環境を改善できる

何があっても薬局は閉めてはいけないと決意

 ―後継者として意識し始めたのはいつごろからですか?

 早香氏 すこやか薬局1号店の開局時、私は1歳。子どもの頃から薬局は身近な存在でしたが、薬剤師をめざしたのは高校時代の恩師の根気強い指導のお陰です。福岡県内の薬科大卒業後、東京の大手薬局グループに出向中の2011年、東日本大震災が発生しました。被災した社員たちが業務を続ける姿を目の当たりにし、地域医療のインフラである薬局の重要性を痛感しました。その体験があったからこそ、万が一の心構えを社員みなで共有し、コロナ禍であっても薬局を閉めてはならないと決意して、苦境を乗り切ることができました。

 ―沖縄県の薬剤師不足について。

 早香氏 沖縄県の薬剤師数は全国で最下位(人口10万人あたり)。慢性的な薬剤師不足の状況が続いています。県内には薬学部がなく、進学は本土へ行くほかありません。6年間の学費や生活費など経済的負担は大きく、薬剤師不足解消のためにも私たちは県内の薬学部新設を働きかけていきます。

地域の医療人であるために、想いをひとつに

 ―創業40周年を機に新たな指針を掲げました。

 早香氏 事業承継するにたあたり、社内に「未来創造室」という部署を設置して、グループ全体のブランディングを進めてきました。父が掲げた「創造と奉仕」という経営理念、子どもたちのすこやかな成長を願って名付けられた「すこやか薬局」の歩みを振り返り、これからも大事にしていきたい思いを言葉にする作業を重ねました。パーパスは「誰もが幸せに暮らす未来に、愛を。」、スローガンは「BORDERLESS LOVING」(ボーダレスラビング)です。愛あふれる会社を目指し、この島を豊かにするために考動し続ける存在でありたい、わが社の存在意義や使命、地域貢献への思いを社員たちと改めて共有できました。

 ―これからのグループについて。

 敏行氏 注射剤を無菌の状態で調合する無菌調剤室の設置など、高度医療の進化とともに医療インフラとしての薬局の技術を磨いてきました。正しい知識や情報を伝え、患者さまの不安を取り除くことが薬局の使命です。これからもかかりつけ薬局として、地域の皆さまとのコミュニケーションを大切にしていきたいですね。
 早香氏 「医は仁術」。思いやりの心で、患者さま一人一人と向き合い「すこやか薬局に相談すれば大丈夫」と思ってもらえるような、愛あふれる会社づくり、愛を地域に還元できる会社をめざしていきます。

 

【プロフィール】

株式会社「薬正堂」代表取締役会長 宮里 敏行(みやざと としゆき)氏

1956年、宮古出身の父・伊是名出身の母のもとに6人きょうだいの長男として出生。幼少期から高校時代まで宜野湾市野嵩で育つ。心臓病を患う双子の弟の医療費工面のため、新聞や豆腐の配達などで家計を助けた。普天間高校卒業、駒沢大経済学部(夜間部)に進学。医薬品卸会社勤務を経て84年、具志川市に宮里薬局を開業。翌年、有限会社「薬正堂」設立、「すこやか薬局」1号店を開業。2008年、株式会社「すこやかホールディングス」代表取締役社長に就任。24年4月、薬正堂代表取締役会長に就任。沖縄商工会議所会頭3期目。

株式会社「薬正堂」代表取締役社長 宮里 早香(みやざと さやか)氏

1983年生まれ。県立美里高校卒業後、第一薬科大学(福岡県)へ進学。薬剤師として県立中部病院勤務を経て、2010年に株式会社「薬正堂」に入社。大手薬局グループ「クオール株式会社」へ出向中、東日本大震災が発生、被災地での業務を体験する。19年10月、薬正堂取締役副社長に就任。24年4月、同社代表取締役社長、株式会社「すこやかホールディングス」代表取締役副社長に就任。父・敏行氏とともに、子育ての経験や女性ならではの視点を活かし、新しい業種に挑戦し続けている。二児の母。

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