[社説]闇バイト 若者の加担 啓発で防げ
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月21日 4時0分
一戸建てに住む高齢者を狙った強盗事件が、関東を中心に相次いでいる。
家の窓などを割って複数人で押し入り、被害者を縛るなどした上で金のありかを聞き出そうと暴行を加える。殺害に及ぶケースもあり、残忍極まりない。
事件の背後にあるのが闇バイトの存在だ。
交流サイト(SNS)の「高額報酬」「即日即金」などの文言につられて応募してしまい、気が付けば事件の実行役となっていたというケースもある。
闇バイトを端緒とした犯罪の内容はさまざまあるが、特に「おれおれ詐欺」などと呼ばれる特殊詐欺に関するものが多い。主な手口は、家族や親戚などを装って金をだまし取るというものだ。
「架空請求詐欺」「還付金詐欺」など、だます手口はどんどん巧妙になり多様化してきた。2004年に警察庁が一連の類似犯罪の呼称を「振り込め詐欺」とまとめたが、それから20年が経過した今も、全国で摘発が続いている。
県内では今年5月、高校1年の男子生徒が那覇市に住む70代の女性から現金50万円をだまし取る事件に関わったとして、詐欺容疑などで逮捕された。
那覇署によると、男子生徒は特殊詐欺グループで現金などを受け取る「受け子」役だったとみられる。
生徒は闇バイトに応募した理由について「お金が欲しかった」と供述している。安易で短絡的な動機と、重大な犯行との落差に衝撃を受けた。
■ ■
東京都内や埼玉、千葉などの首都圏で発生している強盗事件も、いわゆる闇バイトに応募してきた面識のない人同士が集まり、犯行に及んでいる。
このような犯罪では、押し入る家を見極める「下見」としてリフォーム業者を名乗り、「点検しないか」などと言いながら半ば強引に家に入り込もうとする手口が目立つという。
県消費生活センターによると、県内でも「点検商法」が疑われる通報が増えている。昨年1年間で1件だった屋根工事に関する相談は、今年10月までに12件と急増しており、注意を呼びかけている。
秘匿性の高い通信アプリなどで集められた闇バイトの裏には、彼らを「捨て駒」として使う指示役がいる。警察は徹底的な捜査で一人でも多くの首謀者を突き止め、犯罪を食い止めなければならない。
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広告などを見て軽い気持ちで応募し個人情報を渡してしまった結果、「抜けたら殺す」「家族に危害を加える」などと脅されて逃げられず、犯罪に加担する若者もいる。
求人サイトの運営会社は闇バイトが疑われる掲載依頼には応じないなど、厳しい自主規制が求められる。
犯罪の「入り口」に立つ若者を救うための啓発活動が急務だ。そして闇バイトに接触した後でも、勇気を出して警察に相談してほしい。何かおかしいと気付いた時に安心して引き返せるよう、教育現場や警察が全力で取り組む必要がある。
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