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[社説]ウクライナ侵攻千日 戦争終結への道筋示せ

沖縄タイムス+プラス / 2024年11月23日 4時0分

 2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から、19日で千日。終わりの見えない戦争は、ミサイルによる越境攻撃の応酬と北朝鮮の参戦で新たな局面を迎えた。

 この2年9カ月の間に、目に見えて変わったことがある。

 バイデン米政権は、ウクライナが要求していた米国製の長射程地対地ミサイルを供与し、ロシア領攻撃を容認した。

 民間人に多大な影響を与える対人地雷の供与も認めた。

 長射程のミサイル供与も、非人道的な兵器の提供も、明らかな方針転換である。

 ウクライナの越境攻撃に対し、ロシアは報復措置として、最新の中距離弾道ミサイルでウクライナを攻撃した。

 もう一つの変化は、「多国化」「世界化」と表現される事態が進んだことだ。

 ロシアと北朝鮮は「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、軍事面の協力関係を拡大、ついにロシア西部に部隊を派遣した。

 ロシアの軍事協力を背景に北朝鮮は、韓国との関係を遮断し、核開発に突き進む。イスラエルと対立するイランはロシアを支援し、中国もロシア支援の姿勢を変えていない。

 さまざまな国がこの戦争に関与し、次第にグループ化して対立を深めている。

 三つ目の変化は、核による脅しのエスカレート。プーチン大統領は、核兵器の使用に関する基準を緩和し、米国をけん制した。

■    ■

 退任を間近に控えたバイデン政権の「駆け込み支援」は、ウクライナへの多額の支援に消極的なトランプ次期政権への懸念からだといわれる。

 混迷を深める状況の中、来年1月に発足するトランプ新政権の動向に、世界中の目が注がれている。

 米大統領に就任するトランプ氏は、ウクライナ情勢を巡って、繰り返し「戦争を終わらせる」と発言してきた。

 トランプ氏の政権移行チーム内では、ロシアが現在、占領している地域は現状のまま維持し停戦に持ち込む、との案が浮上しているという。

 ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟も当面、棚上げするというのだから、ウクライナがのめるはずがない。

 だからといっていたずらに戦争を長引かせれば市民の犠牲が増えるばかりだ。

■    ■

 この隘路(あいろ)をどのように切り抜け、戦争を終結させることができるか。トランプ氏の出方と中国の対応に注目したい。

 懸念材料はまだある。

 ウクライナは、ロシア軍による電力施設への集中攻撃で電力不足に見舞われている。

 空襲と停電と身を切るような寒さ。市民は、これまでで最も厳しい冬を迎える。

 日本は、物心両面で全面的に支援の手を差し伸べることのできる位置にある。

 そのような支援は、政府だけでなく市民レベルでも可能だ。

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