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[社説]単身高齢者増加 孤立生まない仕組みを

沖縄タイムス+プラス / 2024年11月26日 4時0分

 2050年、県内では全世帯の半数近くが1人暮らしで、このうち半数が高齢者-。

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した都道府県別世帯数の将来推計だ。

 50年に全世帯に占める1人暮らしの割合が40%を超えるのは、県内(44.9%)を含む27都道府県とする。また、県内(21%)を含む32道府県で65歳以上の高齢者の1人暮らしが2割超となった。

 単身世帯の増加は未婚の人が増え、少子高齢化が進んでいることが背景にある。

 中でも県内では増え方が急だ。20年から50年の30年間の増加率は31%で全国1位。埼玉(24.1%)、滋賀(23.3%)と続く。

 県内では特に男性の未婚率が高い。離婚率の高さも要因となって、1人暮らしが急増していると推測される。

 1人暮らし高齢者の増加率はさらに抜きんでている。

 50年に14万世帯と推計され、20年からの増加率は86.6%だった。全国平均の2倍近い速さで増えることになる。

 75歳以上の後期高齢者の1人暮らし増加率も高い。

 ライフスタイルの変化もあるが、県民所得や持ち家率が全国一低いという経済的要因も複雑に絡んでいるのではないか。

 高齢になれば医療や介護の必要な人が多くなり、見守りが欠かせない。地域で孤独や孤立を生まないよう支え合う体制の整備が必要だ。

■    ■

 1人暮らしの高齢者は、社会との接点が減って孤立しやすい傾向にある。

 特に男性高齢者の増加には留意が必要だ。

 地域にうまく溶け込むことができず、定年退職をきっかけに自宅にこもりきりになるという男性は多い。女性に比べて孤立する傾向が強いとされる。

 県内の自治体では民間と協力してテレビを使った双方向の見守りや、配食サービスなどやさまざまな形で高齢者を支援する取り組みが始まっている。

 従来の自治会や民生委員など地域とのつながりに加え、こうした官民による動きをさらに広げ、県内どこの地域に住んでいても孤立することのないようにしてほしい。

 介護保険のデイサービスやデイケアでも、男性が利用しやすいメニューを取り入れるなど工夫を凝らしたい。

■    ■

 生き方は多様になっている。生涯1人暮らしを選択するという人も増えるだろう。それぞれが家族以外に頼れる関係性を築いておくことも重要だ。

 今春、国の孤独・孤立対策推進法が施行され、重点計画が決まった。自治体やNPO法人の活動支援、市民ボランティアの養成などを柱とする。

 日本の社会制度は家族がいることを前提としたものがほとんどだ。

 身寄りのない高齢者の意思決定を専門家が支援する成年後見制度など、個人を支える制度の充実を急ぐべきだ。

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