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[社説]県の米事務所に監査請求 経緯説明し改善策示せ

沖縄タイムス+プラス / 2024年11月27日 4時0分

 県議会は県の2023年度決算を賛成少数で認定しなかった。県ワシントン事務所を巡り、県が地方自治法に基づく議会への報告をしてこなかったことなどを多数派を占める野党と中立会派が問題視した。

 既に執行済みの予算に影響はないが、不認定は復帰後初めての事態である。

 県は15年、基地問題に関する情報収集や発信のほか、知事訪米への対応でワシントンに事務所を設置した。翁長雄志知事(当時)の施策で、玉城デニー県政も引き継いだ。

 当初は非課税事業者としての登録を検討したが「ロビー活動などは県の政治的活動に当たる」と米側の指摘を受け、株式会社の形態を取ったとされる。

 地方自治法は県が出資する法人に関し、経営状況に関する書類を議会に提出するよう定めている。ところが、これまで議会への報告がなかったのである。その事実が明らかになったのは、県が県議会で野党側の追及を受けた今年10月になってからだった。

 取得した株式について、県は公有財産に当たることを認め、現在、管理台帳への登録を進めるなどの対応をとる。一方、県の事務所が、地方自治法が規定する報告するべき団体に当たるかどうかは、総務省に照会しているところで、いまだ精査中としている。

 ただこの間、法令上の手続きが行われていなかったことは県も一部認めている。批判は免れない。

 県議会は、株式会社設立の適法性などを問う監査請求動議を可決した。議会の監査請求も復帰後初めてのことである。

■    ■

 ワシントン事務所が株式会社だったことについて、玉城知事は今回初めて知ったという。さらに深刻だ。県には設立の経緯に関する明確な記録も残されていないという。

 県は事務所の定款を現地で登記し、法人の設立が認証されていることを強調している。

 また駐在員の滞在ビザについても、事務所が県の全額出資で設立されていることを明記した上で、職務内容を詳しく説明した上で取得しており「違法性はない」とする。

 では、なぜこうした事態に至ったのか。説明が尽くされているとは言い難い。

 二元代表制をとる地方自治体で議会のチェック機能は重要な役割を担っている。

 県はしっかりとした事実確認と検証を自ら進め、県民に丁寧に説明するべきだ。

■    ■

 ワシントン事務所はこの間、米政府や連邦議会の関係者と面談を重ね、玉城知事の訪米に当たっては、米議会とのパイプ役を果たしてきた。県行政にとって一定の役割を担ってきたことは明らかだ。

 今回の問題で、事務所閉鎖もやむなしとなれば、今後の訪米活動など基地問題解決への影響は避けられない。

 県は猛省の上、二度とこのような事態を招かぬよう議会へ再発防止策を提示すべきだ。

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