[社説]規正法の再改正 企業献金にメス入れよ
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月28日 4時0分
政治改革を巡って与野党7党による協議が始まった。きょう召集の臨時国会で政治資金規正法の再改正を目指す。今度こそ改革の本丸である企業・団体献金の禁止に踏み込むべきだ。
少数与党で臨む臨時国会を前に、自民党の呼びかけで協議は開催された。これまでとの違いは、立憲民主党の要求に応じる形で公開の場での協議となったことだ。
最大の争点は企業・団体献金の扱いである。
野党は立民、日本維新の会、れいわ新選組、共産の4党が禁止を要求。ただ経済対策で政府と連携する国民民主は慎重な姿勢で、完全禁止からは一歩距離を置く。
与党の自民は反対の立場、公明は有識者の意見聴取を提案している。
衆院選から1カ月を経てスタートした協議だが、これまで同様、意見の隔たりは大きい。
企業・団体献金は利益誘導的な性格を持ち、政策がゆがめられる恐れが指摘されてきた。
協議後、自民の渡海紀三朗政治改革本部長は「企業献金が悪という前提には立っていない。党内で『やめろ』と言う人は一人もいない」と述べたが、国民感覚から懸け離れているのではないか。
共同通信が今月中旬に実施した世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」との回答が67.3%に上った。自民党支持層でも半数を超えるなど禁止を求める声は広がっている。
■ ■
企業・団体献金の禁止については、リクルート事件などを受けた1994年の政治改革で結論は既に出ている。
当時、税金が原資となる政党交付金制度を導入する代わりに「5年後の禁止」が確認された。
だが自民党の意向をくんで、99年の改正でも政治家が代表を務める政党支部への献金は認められ、「抜け道」が残されたのだった。 完全な約束違反である。
党の政治資金団体「国民政治協会」が2022年に集めた企業・団体献金は24億5千万円に上る。
前代未聞の巨額裏金事件の後である。「政治とカネ」の問題が繰り返されているだけに、厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。
衆院選での与党大敗は「政治とカネ」を巡る政権への不信任でもあった。政治不信の払拭には改革の原点に立ち返り約束を履行する必要がある。
■ ■
今年6月、改正政治資金規正法が成立した際、社説は「『抜け穴』と『先送り』だらけで、改革の名に値しない」と書いた。
今回、自民党が重い腰を上げた政策活動費の廃止などは当然進めなければならないが、一部非公表を容認するなど、新たな「抜け穴」も懸念される。
たった半年で異例の再改正に追い込まれたことを与党は真摯(しんし)に反省しなければならない。生煮えや弥縫(びほう)策は許されない。
与野党による丁寧な合意形成が求められる。
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