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[社説]同性婚訴訟「違憲」続く 注視ではなく道開く時

沖縄タイムス+プラス / 2024年12月15日 4時0分

 同性同士の結婚を認めない民法などの規定は、幸福追求権を保障した憲法13条に違反する。 

 福岡市と熊本市に住む同性カップルが国を訴えていた裁判で、福岡高裁が示したのは「基本的人権の尊重」の礎となる13条に踏み込んだ初判断だった。

 高裁段階では3件目の違憲判断となる。新たな論点からの「異議」を重く受け止め、国会に早期の法制化を求める。

 憲法13条は「全て国民は個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」と定めている。

 岡田健裁判長は判決で婚姻は「根源的な営み」と言及。「新たな家族を創設したいという願望は男女と同性で何ら変わりがない」とし、同性カップルを制度の対象外とする規定は幸福追求権を侵害していると結論付けた。

 時代は確実に進み、共同通信が今春実施した世論調査で、同性婚を「認める方がよい」は73%に上った。

 同性婚は「公共の福祉」に反せず、「法制度として認めない理由はもはや存在しない」との判断も明快である。

 一つ屋根の下で暮らし、深い愛情で結ばれるカップルなのに相続人になれなかったり、共同親権を得られないなど法の恩恵を受けられないのは理不尽だ。

 地位を明確にすることで、誰もが生きやすい社会づくりを進めたい。

■    ■

 同性婚を巡る訴訟は、全国5地裁で6件起こされている。

 一審は「違憲」2件、「違憲状態」3件、「合憲」1件と判断が割れたが、二審は札幌、東京、福岡とこれまで全てで「違憲」判断が下されている。

 原告側が憲法に違反すると訴えてきたのは(1)幸福追求権を保障した13条のほか(2)法の下の平等を定めた14条(3)両性の合意のみに基づいて婚姻が成立するとした24条1項(4)個人の尊厳と両性の本質的平等を掲げた24条2項-だ。

 初の二審判決となった3月の札幌高裁は、24条1項に関し「同性間の婚姻も異性間と同程度に保障している」と初判断を示した。 

 今回、福岡高裁が13条違反に踏み込んだことで、各地の訴訟で争点となった憲法の条項全てで、違憲判断が出たことになる。

 司法の流れは、はっきりしている。

■    ■

 機は熟しているにもかかわらず、政府のコメントはいまだに「他の同種訴訟の判断も注視したい」だ。

 自治体ではパートナーシップ制度の導入が進むが、判決は同制度の拡充などで「不平等は解消されない」と国に苦言を呈する。

 世界の潮流からも、人権の観点からも、これ以上放置できない問題である。

 判決後、原告らが掲げた横断幕にはこう書かれていた。「国会、まだ立法せんと」

 最高裁の結論を待つことなく、法制化へ動かなければならない。

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