[社説]政倫審またも不発 証人喚問で真相解明を
沖縄タイムス+プラス / 2024年12月24日 4時0分
発覚から1年がたつというのに、真相は一向に明らかにならず、疑惑解明のために設けられた場が、逆に政治不信を深める場になっている。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、旧安倍派、旧二階派関係議員の弁明が続いている衆参両院の政治倫理審査会。
パーティー券の販売ノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載せずに議員に還流し、裏金化する。そのような資金還流の経緯を明らかにすることが政倫審の焦点だった。
だが、出席したほとんどの議員が肝心な点に触れず「知らなかった」「経理は全て秘書に任せていた」「派閥の指示に従っただけ」と釈明を繰り返すばかり。
誰がいつ始めたのか。2022年4月に安倍派会長だった安倍晋三元首相が還流を中止すると指示しながら、死去後の8月の幹部会合後に復活したのはなぜなのか。誰が主導したのか。
事件の核心部分は依然として、やぶの中だ。
衆院選に当選したから、政倫審で説明したから、もう「みそぎ」は済んだ。そう考えている議員が多いのではないか。
年内に区切りをつけ、来夏の参院選への影響を最小限にとどめたい、との思惑が透けて見える。
だが事件の核心部分にふたをしたままだと、この問題はいつまでたっても決着しない。
裏金事件の真相を解明することが政治改革の前提である。
■ ■
疑惑解明に向けた突破口がないわけではない。
22年8月、旧安倍派の幹部会合に出席した塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成の4氏は今年3月の政倫審で「結論は出なかった」と説明した。
ところが、会合に同席した派閥の会計責任者は6月の公判で「4人の協議で再開が決まった」と証言しているのである。
政倫審での発言は偽証罪に問われない。食い違いをただすためには、4人の証人喚問と当時の会計責任者の参考人招致が必要だ。
議員の中には安倍氏に
対し、22年春ごろ「法的問題はないのか。あるなら運用を改めるべきではないか」と伝えた人もいた。
複数の議員から同様の指摘があり、これを受けて安倍氏が中止を指示したようだ。となると、重要なのは再開のいきさつということになる。
■ ■
問題点を指摘する声が派閥内部から起こり、安倍氏が中止を決めた。ところが安倍氏の死後、中止決定がひっくり返り、資金還流が再開された。一体、何があったというのか。
石破茂首相は自民党総裁として真相解明に責任を持つべきである。自浄能力を発揮できなければ政権にとどまる資格はない。
年明けの通常国会では、還流中止と再開の経緯に絞って、真相解明を進めてもらいたい。
地方組織で似たような裏金づくりが行われていないかどうか、地方議員を対象にした調査も必要だ。
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