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「どうすれば」二十歳の門出に不安 成人衣装で契約トラブル 式典参加予定者120人、名護の業者と連絡つかず

沖縄タイムス+プラス / 2024年12月25日 9時42分

11月で途絶えた、20歳の女性と業者のLINEのトーク画面

 成人の日などに開催される「二十歳の集い」で参加者らが身に着ける振り袖やはかまの契約を巡り、本島北部の19~20歳の式典参加予定者約120人と注文業務を担う名護市の業者との間で、連絡がつかないトラブルが起きていることが分かった。

 貸衣装会社「スマイリー」(那覇市)によると、名護市の業者は、提携先であるスマイリーから本島北部での注文業務などを委託されている。業者から代金を受け取ったスマイリーが、工場へ衣装を発注する仕組み。

 業者は来年の集いに向け、名護市や本部町、伊江村など北部8市町村出身の若者らと契約を交わし、少なくとも約730万円を受け取った。しかし、スマイリーには「内金の3分の1ほど」しか支払われていないという。9月から連絡が取れなくなっており、スマイリーは今後、業務上横領容疑での告訴状を県警に提出する予定。(社会部・豊島鉄博)

■「一生に1度のイベントでこうした事態になり…」

 来年1月の「二十歳の集い」で着用するはかまや振り袖を巡り、レンタル予約や購入をしていた式典参加予定者が、名護市の注文業者と11月ごろから連絡が取れなくなっている。「許せない」「どうしたらいいのか」と困惑する声が上がる。(社会部・豊島鉄博)

 「一生に1度のイベントでこうした事態になり、申し訳ない」。24日に報道陣の取材に応じた那覇市の貸衣装会社「スマイリー」の比嘉基生社長は、沈痛な表情を見せた。

 比嘉社長によると、 注文業務などを担う名護市の業者とは6年前に業務委託関係を結んだ。昨年度にも売上金を巡ってトラブルがあり、返金に向けた対応を求めているさなかで連絡が取れなくなったという。「無事に式典を迎えられるよう対応していきたい」と話す一方、衣装を発注した工場側への支払いはできていないという。

 はかまや振り袖は1着5万円台から。最も高価なもので30万円ほどという。北部地域の女性(20)は、式典当日と前撮り用のレンタルの振り袖を計15万6千円で注文した。勤め先の給料からひねり出し、8月から毎月、指定口座へ約4万円ずつ支払いを開始。既に10万円以上は支払っていた。「周りは春には予約していて、業者にも『早く決めないといい物は取られるよ』と急かされて、焦ってしまった」と振り返る。

 不審な点はあった。夏に希望していた前撮りは「11月か12月あたりにしてほしい」と言われ、11月初旬に音信不通となった。

 式典当日のヘアメークについても相談していた。地元の式典は、年明けすぐに開かれる。「今から予約できる美容室は少ない。本当に時間がない。どうしたらいいんだろう」と吐露した。

 名護市出身の男性(20)は、同級生16人のはかま代金もまとめて支払った。1着5万5千円で、計約90万円のうち84万円は10月までに振り込んだ。

 業者と連絡が途絶えたことを友人らに伝えると、一様に怒りをにじませた。大切な友人たちも被害に遭ってしまい、自責の念に駆られる。「本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。人生の節目を、こんなふうに迎えるとは思ってもみなかった」と肩を落とした。

■他店 貸し出し支援も

 晴れ着を巡るトラブルを受け、県内で衣装を無償で貸し出す動きが出ている。

 名護市宮里でレンタル衣装を手がける「スタジオエース名護店」は、トラブルに遭った男女を対象に衣装の無料貸し出しを決めた。振り袖は約50着まで、はかまは5着ほど貸し出せるという。振り袖は先着約5人に着付けにも対応。着付け経験のあるボランティアの協力を呼びかけている。代表の東邦洋さん(42)は「一生に1度のイベントで晴れ着を着られないのはかわいそうだ。困っている家族や若者を一人でも多く喜ばせたい」と語った。

 県内で冠婚葬祭業を展開するサンレーも、振り袖約40着を無償で貸し出す。横木大輔部長は「人生の門出を祝う大事な節目を笑顔で迎えてもらえるようにサポートしたい」と話した。(北部報道部・比嘉海人、社会部・玉那覇長輝)

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