[社説]いびつな人口性比 ジェンダー視点 対策に
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月6日 4時0分
なぜ女性たちは島を去るのか。ジェンダーの視点抜きに、この問題の解を探ることはできない。
本紙が全国1700余の自治体の人口を分析したところ、県内の中小規模の離島で女性の比率が極端に低いという、人口を巡る地域格差が浮かび上がった。
女性を1とした際の男性の数を示す「人口性比」は北大東村1.53、渡名喜村1.45、南大東村1.41と続き、上位10番目までに県内6自治体が入った。
20~30代の若い世代に限れば、男女比の偏りは拡大傾向にある。
人口性比の全国平均は0.95、県内平均は0.97。女性の平均寿命が長いこともあり、通常は女性の数が男性を上回る。
しかし県内の中小規模の離島では、それとは逆の風景が広がる。
男女比のアンバランスが固定化されれば、結婚、出産、人口減少など地域コミュニティーや行政サービスの維持に影響を及ぼしかねない。
県の推計で復帰後、増加を続けてきた県人口が減少に転じたのは2023年のこと。41市町村のうち26市町村で減少し、中でも離島自治体が目立った。
深刻なのは、人口減と高齢化、女性の流出が同時に進行していることである。
高校がない、働く場がない、出産できる病院がないなどが要因として挙げられるが、その実、問われているのは女性にとって暮らしやすい地域なのかどうかだろう。
■ ■
昨年4月、人口戦略会議が全国744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表した。
根拠としているのは、20~30代の女性が30年後に半分以下に減るとの推計だ。
沖縄県内の消滅可能性自治体はゼロだった。小規模離島では、もとよりこの年代が少ないため、ゼロでも楽観はできない。
政府が「地方創生」に本腰を入れてから10年が経過する。地方移住や企業移転、子育て支援策を次々と打ち出すも、東京圏への流入に歯止めがかからない。
施策の方向性を見誤ったのではないか。
若い女性が求めているのは単に働く場所ではなく、生きがいを持って働ける場だ。仕事と子育てのワークライフバランスも大切にしている。一方、地域共同体においては固定的な性別役割を巡る価値観が根強く、女性の生きづらさにつながっている。
■ ■
渡名喜村は25年度、退職などに伴い職員数が定数27人の半分近い14人にまで減る可能性があるという。
県の応援も、業務のデジタル化ももちろん必要だが、行政サービスの維持には組織を支える職員の確保が何より重要となる。
人口減少時代にどのように地域を守っていくか。
人口減少は女性の問題でもなければ、自治体任せにする問題でもない。日本社会の最大の課題である。
深刻だからこそ、当事者視点を重視した対策の立て直しが求められる。
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