[社説]ガザ停戦合意 今度こそ「恒久停戦」を
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月18日 4時0分
ガザで続く戦闘を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦に合意した。
1年3カ月に及ぶ戦闘で、あまりに多くの罪なき市民の命が奪われた。餓死や凍死の報告も相次ぎ、人道危機は想像を絶する。
3段階から成る停戦合意の、第1段階が19日から始まる。6週間の戦闘休止だ。この間にハマスは人質33人を解放、イスラエルは拘束するパレスチナ人数百人を釈放する。イスラエル軍はガザの人口密集地から撤収する。
第1段階中に、それ以降の停戦継続を協議。第2段階では残る人質の解放と、全てのイスラエル軍の撤退を実施する。
第3段階でガザの復興が始まる。
具体的合意は第1段階だけで、恒久停戦につながる第2段階以降に関しては内容も方法も不透明だ。
まずは、第1段階の合意の着実な履行が求められる。ただ早くもイスラエルのネタニヤフ政権内の極右閣僚からは反発の声が上がっている。
20日に就任を控えるトランプ次期米大統領が、双方に強い圧力をかけたことが合意実現につながったとされる。
その意味では、政治的打算が色濃い「もろい停戦」である。
今回の合意をガザの苦しみを終わらせる恒久停戦へつなげなければならない。
とりわけ、一貫してイスラエルの側に立ち、武器を供与し続けた米国の責任は重い。
■ ■
イスラエルはハマスに対する「自衛権の行使」として攻撃を正当化してきた。米国はそれを支持してきたが、一方的な被害拡大に国際社会から批判が強まっていた。
1年3カ月もの戦闘で、ガザの人口の約2%に当たる4万6千人以上が犠牲となった。多くが女性、子ども、高齢者だ。
日本の人口の約2%、250万人が死亡するという事態を想像してみてほしい。
国連安全保障理事会は戦闘休止や即時停戦を求める決議を採択した。
国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対しジェノサイド(民族大量虐殺)を防ぐよう命じ、ラファ攻撃の即時停止を命じる仮処分を出した。
国際刑事裁判所(ICC)は人道に対する罪の疑いでネタニヤフ首相らに逮捕状を出している。
しかし攻撃はやまず、結果、非戦闘員の犠牲は膨れ上がった。
■ ■
ガザの街は破壊し尽くされ、人口の9割もが家を追われた。住民の多くは、冬の厳しい寒さと極度の食料不足の中、テントでの避難生活を余儀なくされている。
19日以降、1日当たりトラック600台分の支援物資が運ばれるという。壊滅的な人道状況の改善が何より優先されるべきだ。
国際社会は支援の加速化に力を尽くさなければならない。
ガザの人々の生きる権利の保障を合意の出発点とすべきだ。
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