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陸自訓練場報道「国策変更の引き金に」 安和ダンプ死傷連載「事故要因を掘り下げた」 沖縄タイムスに新聞労連ジャーナリズム特別賞

沖縄タイムス+プラス / 2025年1月18日 4時24分

新聞労連ジャーナリズム大賞の特別賞を受賞した沖縄タイムスの「自衛隊訓練場新設計画の断念に至るまでの一連の報道」と連載「安和の現場から 事故は防げなかったのか」の紙面

 17日に発表された第29回新聞労連ジャーナリズム大賞。本紙が取り組んだうるま市陸上自衛隊訓練場新設計画を巡る報道と、名護市安和でのダンプカーが絡んだ死傷事故で国の責任を問うた連載が特別賞に選ばれた。

 陸自訓練場計画を巡る一連の報道では初出のスクープに加え、1959年に多くの死傷者を出した「石川・宮森ジェット機墜落事故」の記憶から住民の間で広がる怒りや不安をつぶさに伝えた。

 選考委員は「南西諸島への自衛隊配備強化が進む中、住民不在で進めようとした国に政策の変更を迫る引き金となった意義ある報道」と評価した。

 名護市辺野古の新基地建設に絡み2024年6月、同市安和で土砂を運ぶダンプカーに警備員がひかれて死亡し、一緒にひかれ重傷を負った女性や抗議する市民がSNSで誹謗(ひぼう)中傷された。連載「安和の現場から」は関係者に取材を続け、土砂搬出を急ぐ国の意向が事故につながった事実を浮き彫りにした。

 選考委員は「辺野古での抗議行動に悪意あるSNSの投稿がやまない中、現場で何が起きていたのかを深く掘り下げた」と連載の意義を強調した。

 その他の受賞作は次の通り。

 【優秀賞】下野新聞「連載・キャンペーン報道『希望って何ですか 続・貧困の中の子ども』」、京都新聞「京都府警本部長『殺すぞ』暴言を巡る一連の報道」、西日本新聞「いじめ問題を追う~防止法10年」

 【特別賞】琉球新報「『歩く民主主義 100の声』と『国策と闘う』」

 【疋田桂一郎賞】神戸新聞の名倉あかりさん「連載『なかったことにしたくない-災害時の性暴力』」、毎日新聞の村瀬優子さん「新型コロナワクチン接種を巡る消防職員への人権侵害を追及した一連の報道」

反対運動の機運高める

うるま陸自計画報道

 本紙報道で明らかになったうるま市石川での自衛隊訓練場新設計画は、地域住民への事前説明が全くなかった。沖縄への部隊配備などを推し進めてきた防衛省の「おごり」(同省幹部)が浮き彫りになったかたちで、政治的立場を超えた市民・県民運動や計画撤回の政治判断につながった。

 また、計画予定地は65年前に米軍の戦闘機が墜落し、228人の死傷者が出た事故の小学校区。「宮森小の二の舞にはさせない」「静かな住環境を守りたい」。その一心で動いた高校生や元自衛官など住民の声を幅広く紙面に反映し、反対運動が県全体に広がる機運を高めた。

(東京報道部・新垣卓也、中部報道部・又吉朝香)

 

防衛局の責任を追及

安和ダンプ事故連載

 名護市安和桟橋で辺野古新基地建設用の土砂を運ぶダンプトラックが、抗議中の女性と警備中の男性をはねる死傷事故が起きた。SNS上では女性への誹謗(ひぼう)中傷が相次ぎ、「危険な抗議活動で死者が出た」と「断罪」する投稿があふれた。

 だが、運搬に携わるダンプ運転手や現場に立つ警備会社の元社員に話を聞くと「1台でも多く出したい沖縄防衛局の意向があった」「事故は運搬を急ぐ防衛局の責任」と胸中を話してくれた。

 連載では現場の業務連絡や複数の証言をそろえ、工事の進捗(しんちょく)を最優先にし安全をないがしろにした防衛局の責任を追及した。

(北部報道部・松田駿太、比嘉海人、政経部・平良孝陽)

 

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