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[社説]大統領令連発 危ういトランプ流独裁

沖縄タイムス+プラス / 2025年1月23日 4時0分

 米国のトランプ新大統領は20日の就任初日から大統領令を連発し、政策の大転換を打ち出した。

 「就任初日は独裁者になる」と公言してはばからなかったトランプ氏は、大勢の熱狂的な支持者が見守る中で、公約通りに奔放な独裁者を演じた。

 大転換の一端は次のようなものだ。

 ・連邦政府が認める性別は男性と女性の二つのみとする。

 ・多様性・公平性・包括性(DEI)に関する政策を終わらせる。

 ・不法移民対策を進めるための国家非常事態を宣言する。

 ・メキシコ国境への軍の追加派遣と「壁」建設を進める。

 トランプ政権は早速21日、DEIを重視してきた沿岸警備隊トップの女性司令官を解任した。

 トランスジェンダー当事者の軍への入隊を禁じ、女子競技からも締め出すという。

 政府がこのような政策を採用すると、市民レベルで性的少数者などに対する差別が公然化する恐れがある。

 移民そのものへの風当たりも強くなるのが確実だ。トランプ氏は、大統領選の候補者討論会で「不法移民がイヌやネコなどのペットを食べている」と発言し、一気に拡散した。

 米IT大手のメタはファクトチェック制度を米国で廃止する方針を明らかにしており、移民を巡る偽情報や過激な発言が増える可能性が高い。

■    ■

 トランプ流の「独裁政治」は、どこかでそれを制御する力が働かないと、少数者の権利が脅かされ、米国社会の分断を深める結果を招きかねない。

 就任初日に明らかにした政策転換で、もう一つ目立ったのが国際機関の軽視である。

 気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの再離脱、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明し、大統領令に署名した。

 米国はWHOへの最大の資金拠出国である。脱退により、発展途上国の感染症対応への悪影響などが懸念される。

 化石燃料増産を目指すトランプ政権の政策は「パリ協定」に基づいて各国が積み重ねてきた気候変動対策を無にしかねない。

 国際協調や環境対策を重視したバイデン政権からの大転換は自国第一主義の悪(あ)しき表れと言うほかない。

■    ■

 トランプ大統領は就任演説で「世界がかつて見たこともないような最強の軍隊を構築する」と強調する一方、次のように語った。

 「われわれの成功は(中略)決して巻き込まれることのない戦争によっても測られるだろう」

 トランプ政権は、中国を「敵」だと見なす強硬派で固められているが、演説内容は力による平和を目指し、戦争にむやみに介入しないとも読み取れる。

 沖縄の基地問題はどうなるのか。大きく変化するとは考えにくく、基地負担軽減について、いかなる幻想も持つべきではない。

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